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CMB

炭素とか酸素とか鉄とかウランとかの原子核がどうやって出来たのか、っていう話にそのうち持っていくつもりですが、まずは寄り道をします。

寄り道と言っても、宇宙について話す際には結局ここに戻ってくる、という話。宇宙背景放射、についてです。マザーとスムートが、これの観測で06年にノーベル賞を受賞して、その時にもブログで書いたんですが、何度書いてもいい話なので。


ラジオやテレビ、携帯などは、電波を使って信号を送ったり受け取ったりしています。これまた何度も書いた話ですが、電波も目に見える光も電磁波の一種。電波と可視光の何が違うかと言うと、電波のほうが波長が長いんですね。

まぁとにかく、電波を受信するアンテナには、雑音が入ります。ラジオ局にピッタリ合わせないでラジオを聞いたり、放送の無いチャンネルにテレビを合わせたりすれば分かりますね。

雑音の元のほとんどは、地球上にあるんですが、実は(ごく)一部は、宇宙から来ているんです。人工衛星にアンテナを付けても、雑音があるんですね。


波長ごとに、この雑音がどれくらい強いのかグラフ(スペクトル)にするとこうなります。
CMB spectrum

この雑音の面白いのは、宇宙のどの方向からも、上のグラフの強さで届いている事です(注)。これは、そこらの星、そこらの銀河系から来ているわけではないという証拠になります。

宇宙背景放射と言われる理由はこれ。星などの前景とは別に、こういった放射線がある、という意味です。


さらに、物理学者が上のグラフの曲線を見ると、すぐに思い当たるものがあります。それは、黒体放射という現象。

黒体、って名前はちょっと紛らわしいんですが、光を反射しない物体、という意味。黒体放射とは、光を反射しない物体は温度によって違ったスペクトルで電磁波を発するという現象なんです。下のグラフが、温度ごとの黒体放射のスペクトル。

Blackbody spectrum

温度が高くなればなるほど、より短い波長で、より強い電磁波が発されることが分かります。

見た事があると思う例で言うと、鉄などを熱すると赤くなるのが、黒体放射です。

Blackbody

温度が低いうちは、黒体放射の波長が長く、赤外線になってしまうので目には見えません。温度が高くなるにつれて、可視光の中でも一番波長の長い、赤い光を発するようになるんですね。さらに温度が高くなると、光が強くなって、黄色がかってきます。これは上の写真でも分かるかと思います。


黒体放射のスペクトルと、宇宙背景放射のスペクトル、グラフを見比べてみると形がそっくりですよね?

宇宙背景放射のスペクトルは、絶対温度2.73度の物体の黒体放射と同じなんです。


この発見が意味する事がなんなのか、少し考えてみましょう。

宇宙は絶対温度2.73度の黒体なんだ、と言ってしまっても大きな間違いはないんですが、それだけでは漠然としています。

黒体放射のもう1つの捉え方は、これは特定の温度を持った光子(電磁波を構成する粒子)のガス、だというものです。この見方だと、宇宙には、2.73度の光子のガスが充満している、という事になります。

どの方向を見ても、このガスの温度がほとんど変わらないという事は、例えば北の方のガスと南の方のガスも、元は同じ場所から来たんではないか、と考えられます。ずっと別々の場所にいて、熱を伝達する事が無かったのなら、同じ温度を持っている理由が無いんです。

宇宙背景放射は、ビッグバンが起こり、そのあと宇宙が膨張して今に至る、という説の証拠になるんです。

今の宇宙背景放射の温度が絶対温度2.73度ととても低いのは、宇宙が膨張したから。密閉したガスを、圧縮すると温度が上がり、膨らませると温度が下がるからです。


宇宙背景放射には、ごくごく小さな温度のゆらぎがあります(これの観測が、06年のノーベル賞の受賞理由)。1000分の1度、10000分の1度というレベルの違いです。

このゆらぎは、ビッグバンの直後の宇宙を見ると、わずかながら物質の分布にゆらぎがあった事を示していると考えられます。そしてそのわずかなゆらぎが、100億年以上の時間を経て、今の地球から観測出来る無数の銀河系に発達して行った、という事になります。

宇宙背景放射のゆらぎの発見は、宇宙論のロゼッタストーンと言っていいシロモノ。このゆらぎは、ビッグバン直後の宇宙がどんなものだったのかについて、大量の情報を含んでいるんです。

この話が、原子核の合成にどうやって絡んで行くのかも含め、これから書いていきます。(えーと、今のところ保留になっています、スイマセン)


(注)背景放射に対して地球が移動している事から、実際に測られる電波にはドップラー効果が起こります。地球の進行方向に向かっては波長が短く、進行方向の反対に向かっては波長が長くなります。これは救急車が通り過ぎるような時と一緒。このドップラー効果の強さから、地球を含む銀河系の、宇宙背景放射に対する速度を求めると、秒速627±22kmという数字が出るそうです。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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