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左利きの宇宙?

お久しぶりです。ほぼ1週間、彼女さんが遊びに来ていまして更新お休みでした。

…と、ブログに戻ってきてみると、拍手の数がやけに増えてるんですね。1週間で40個。同じ記事にいくつも入ってるんで、新手のスパムかな?とも思ったんですが、拍手は出し手が分からないからスパムとしては全く意味がない(笑)

古い記事でも、拍手をして頂けるくらい感心(?)してもらえたなら、どういう風な感想を持ったのか、コメントしてもらえるとさらにありがたいです。


更新を休んでいる間に、面白い講義を聞いてきました。アミノ酸の「利き手」(キラリティ)についての話です。

生化学をかじった人なら知っているかと思うんですが、アミノ酸の分子には、右利きと左利きのものがあります

chirality

アミノ酸の構成要素は、中心になる炭素(C)と、それにくっつく水素(H)、アミノ基(NH2)、カルボキシル基(COOH)まではどれも一緒。アミノ酸の種類を決めるのは、炭素にくっついているもう1つの要素(R)です。そしてこの構成要素の繋がり方には2通りあって、お互いが鏡で映しあったような関係にあるわけです。便宜上、片方の繋がり方を右利き、もう片方を左利きを呼んでいるわけです。


アミノ酸を、普通の方法で人工的に合成すると、右利きの分子と左利きの分子が半々出来上がります。

でも地球上の生き物の中を見ると、ほぼ全てのアミノ酸は左利きなんです。(セリンと言うのが例外らしいです)


問題なのは、この地球の生物内のアミノ酸の利き手は、いつ、どうやって決まったのか

スタンダードな答えは、今の地球上生物全ての先祖にあたる何者かがアミノ酸を作り始めた時に、たまたま左利きのアミノ酸を作った、というもの。


生き物の体中で色々な働きをする酵素は、アミノ酸から出来ています。酵素の材料が、左利きのアミノ酸だけだった場合や、右利きのアミノ酸だけだった場合は、右利きと左利きが混ざっている場合よりも酵素の働きがずっと強くなるんだそうです。この事だけから言うと、右利きのアミノ酸を使う生き物がいてもおかしくはないわけです。

でも、片方の利き手のアミノ酸を作るプロセスを使える生物の子どもには、同じプロセスが遺伝によって伝わります。たまたま、地球上の生物の祖先は、右利きではなく、左利きのアミノ酸を作る生物だった、という事なら、今の生物がみんな左利きのアミノ酸を使うことが説明出来るんです。


ただ、この主流の答えを疑う研究者達もいます。先週、講義していったのは、そんな一人。

地球上のアミノ酸が左利きなのは、地球のアミノ酸は宇宙から来たもので、宇宙で作られるアミノ酸は左利きの方が多い、という説を検証しようとしているんです。


こういった仮説を立てる人がいる理由には、マーチソン隕石の発見があります。

オーストラリアのマーチソンという町の近くに落ちたこの隕石には、アミノ酸が含まれていました。そしてそのアミノ酸は、左利きの方が多かったんですね。(100%ではありません)

地球上にあったアミノ酸が紛れ込んだのでなければ、これは、地球外のどこかでアミノ酸が作られて、しかも利き手が偏っていたという事になります。どうやってそういう事が起きるのかは、まだ確かな答えの無い謎なんです。

地球上の生命が、どういう風に始まったのか、というのも、確かな答えが無い謎。2つ大きな謎があると、繋げて考えたくなるのが科学者の癖です。地球上の生物は、宇宙から来たアミノ酸から生まれた、という説を唱える人が出てきたのは不思議ではありません。


個人的な印象だけ言うと、今の地球上のアミノ酸がほぼ左利きだけ、と言うのは、生物が生まれる前の地球上のアミノ酸に付いてはほとんど何も教えてくれない、と思います。

なぜなら、一度生物が生まれてしまうと、その生物がたまたま使っていたアミノ酸の利き手が、一気に増殖してしまうから。元の利き手の割合がどんなものでも、一度左利きのアミノ酸を使い、作れる生物が増殖すると、以前の割合の痕跡は無くなってしまうんです。

これの例外は、生物の誕生には、アミノ酸の割合が最初から大きく偏っていないといけない、と言う場合。この場合、地球上のアミノ酸の割合は何らかのプロセスで元から偏っていて、そのおかげで生物が生まれた、と言う事になります。もしかするとその偏りは、地球外で作られたアミノ酸にあるものだったのかも知れません。


この問題にしろ、生命誕生の謎にしろ、生物学、化学、物理学が全部絡んでくるなかなか難しい問題です。しかも、答えをどうやって検証すればいいのか、という事も考えると、面白いけれど、仕事でやりたいとは思いません。間違っていても間違っていると分からないわけで、いつまでも突き進んで行っちゃうんですから。


ところで、地球上のアミノ酸の割合は、一昨年、南部教授がノーベル物理学賞を受賞した「対称性の自発的破れ」の面白い例です。いかにも物理学者の興味をそそる問題なのかも。

テーマ : 宇宙・科学・技術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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