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ダークマターへの3つの道

ダークマターの話の続きです。ここまでは、普通の物質とは違う、ダークマターという物質の存在の証拠、でした。

遠くの銀河系の観測などから分かってきたのは、銀河系の質量のほとんどは、望遠鏡で見えない物質だという事。そして、その物質は、重力以外では、他の物質とほとんど反応しないという事でした。


これは、ダークマターについてさらに調べるためには障害になります。望遠鏡で見えないだけでなく、研究室を通り抜けたりしても観測出来る影響がほとんど無いわけですから。

最悪の場合、ダークマターは重力でしか反応しない、という可能性もあります。前にも書いた話ですが、重力は、電磁力などの力と比べると極端に弱いんです。

普通に生活していると、重力は強いような気がしてしまいますが、それは地球の質量が巨大だから。見方を変えれば、巨大な地球の重力に逆らって、人間は手を挙げたり出来る、とも言えるわけです。(注)

その弱い重力でしかダークマターを探れないとなると、大変です。なので、この可能性は物理学者達は当面は無視することにしています(笑)面倒だから、という事ではなくて、もしそうだとしたら、ダークマターについてはこれ以上知ることは出来ないかも知れないので、まずは、もっと分かるかも知れない方法を試してみよう、という事です。


というわけで、ダークマターが何なのか、そしてどうやったらさらに調べられるのか、色々な説が現れました。いえ、今でも毎月のように新説を唱える論文が出ています。

そして、地上での実験や、天文観測をする人達は、こういった説の中から、どれが有望なのか調べて、その説に沿ってダークマターを観測出来るかどうか試しているわけです。


もし、ダークマターが他の物質と重力以外の力で反応出来るとします。この場合、どんなに力が弱いとしても、普通の物質とダークマターが衝突して、ビリヤードボールのように弾き合う可能性がある、という事になります。

これが、ダークマターを調べるアプローチその1。直接、普通の物質との衝突を観測する方法です。


素粒子論では、ファインマン・ダイアグラムと呼ばれる図で、粒子同士の反応を表します。例えば、ダークマターと電子が衝突するのは、↓このような図になります。時間が下から上に進んでいるとすると、ダークマターχと、電子eが粒子を交換して、また離れて行くわけです。

snap_grizz_20101314157.jpg

ファインマン・ダイアグラムが素粒子論で役に立つ理由の1つに、図で描かれた反応が起こる場合、時間の進む向きを変えても、その反応は起こる、という事があります。(矢印が時間の向きと反対の粒子は、反粒子と解釈)

↑の図を、90°回してみるとこうなります↓

snap_grizz_20101315024.jpg

下から上に時間が進んでいるとすると、普通の物質同士(この場合、電子と陽電子)が衝突した後、何らかの粒子に一時的に変わって、それからダークマターの粒子になる、という図です。

つまり、普通の物質を衝突させると、ダークマターが出てくる可能性がある、という事。LHCなどの粒子加速器で、ダークマターを作ることが出来るかも知れないわけです。これが、2つ目のアプローチ。


3つ目のアプローチは、↑の図から180°回転させると出てきます。

snap_grizz_20101314810.jpg

ダークマターの粒子同士が衝突して、そこから普通の物質が出て来る図になります。

宇宙の中でも、ダークマターが沢山ある部分からは、何も無いように見えるところから普通の物質が作られている可能性があるというわけ。ガンマ線の望遠鏡などを使えば、間接的に、ダークマターの反応を観測出来るかも知れないんです。


次からは、1つ目のアプローチに付いて話すつもりです。他の2つは、リクエストがあれば。

(注)これも見方の問題なんですが、重力が弱いのでは無くて、陽子など、普通の物質を作り上げる素粒子の質量が小さい、という方が正確です。

何かが「小さい」、と言うのは何か他のものと比較しているわけですが、重力の強さを示すニュートンの定数(G)は、距離^3/質量/時間^2 の単位を持っています。この単位を持った他の定数と言うのは無いので、ニュートンの定数が大きいか小さいかという事は言えないんですね。一方、質量には、プランク質量という、理論から、普通の現象にはこの位の質量が現れるだろう、と予想される量があります。そしてこのプランク質量は、陽子の質量より19桁も大きい質量なんです。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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