スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

質量?重力?(前半)

無重力、と言われるのは、地面だと思っているものと一緒に落ちる事であって、重力が無くなってるわけじゃない(だから、無重力じゃなくて無重量と呼ぶべき)、というのを先月書きました。今回は、そもそも重力って何?、そして、質量って何?という話です。

(前回から続けて読むと、こんがらがるかもしれません。宇宙に重力が無いなんて事は無いよ、って言うのが一番大事な事なので、こんがらがったら、この記事は忘れて、前回のだけ覚えておいて下さい、笑)


重力という力を、はじめて数量的に表した物理学の理論は、アイザック・ニュートンの万有引力です。

ニュートンによると、質量を持つもの同士全ては、それぞれの質量に比例して、間の距離に反比例する力で引き合っている、というんですね。式で書くとこうなります。
gravity
Fは力(force)、m_1とm_2が物体1と2の質量(mass)、rが距離(distanceだけどrなのは多分、半径、radiusから)。

質量が無ければ重力は働かなくて、質量があれば絶対に働く。質量が大きければ大きいほど、周りからかかる重力も、周りにかける重力も強い。一言で言うと、質量は、重力のもと、だという事です。


この力によって、物体がどういう動きをするのかというと、これは物理学の授業を受けた人なら絶対に一度は見た事のある、この式から分かります。
F=ma
ニュートンの第2法則というやつです。Fとmはさっきと同じで、力と質量。aは物体の加速度(acceleration)です。

これは、こう書き直した方が意味が分かりやすいと思います。
a=F/m
物体の加速度は、かかっている力を質量で割ったもの。この視点だと、質量と言うのは、物が加速されるのを妨げるもの、です。質量が大きな物ほど、動かし始めたり、速度を変えたり、止めたり、曲げたりするのが大変なんです。荷物をいっぱい積んだ車や自転車を思い浮かべてみると分かると思います。


最初に出て来た式での質量は、重力のもと、という意味で、重力質量、と言い、2つ目の式に出て来た質量は、慣性の大きさを決めるので、慣性質量、と言います。

そして、この2つは同じだ、という主張を、等価原理、と言うんですね。


なんでわざわざ、これを原理にするかというと、力のもとが、慣性質量である必要は全く無いからです。例えば、重力以外の身近な現象ほぼ全てを説明出来る電磁力。この力の強さは、力を及ぼし合う物体の電荷に比例します。(大雑把に言うと)

そして、電磁力のもとが質量ではない事を利用した、質量分析法、というのがあります。

例えば炭素の原子というと、原子核の中に陽子が6つあって、その核の周りに電子が6つある、と言うのは決まっています。でも核の中の中性子の数は、6個だったり7個だったり、まちまちです(注)。これを区別するためには、炭素の原子から電子を1つ取り除いてイオンを作り、磁場の中を同じ速さで移動させるんですね。

どれも、電荷が0の原子から、電子を1個取り除いたので電荷は一緒。どのイオンにも、かかっている力は一緒という事です。でも、中性子の数が違うので、質量は違います。質量が大きいほど加速度が小さくなるので、イオンが描くカーブの曲がり具合が小さくなる。つまり、イオンが通った軌道を見ると、質量の違いが分かる。そして、原子核に何個中性子が入ってるのか分かる、というわけ。(↓英語ですが、なんとなく分かるでしょうか)
mass spectroscopy


重力の場合、こういう実験は出来ません。2倍の質量のものを重力で引っ張ると、重力の強さは確かに2倍になりますが、それと同時に2倍曲げにくくもなるので、加速度は変わりません。つまり軌道は変わらないんです。

質量をどう変えても、形や材質を変えても、全ての物体は同じように落ちるんです。

これについては、ガリレオがやったという実験がありますね。ピサの斜塔から、違う重さの球を同時に落としたところ、重さとは関係なく、同時に地面に落ちた、というものです。実際にはこんな実験はせず、斜面に球を転がしてたようですが。要するに等価原理と言うのは、相当前から知られてはいたようなんです。

でも、この原理が本当に重要なんじゃないか、と真剣に考えて、結論に辿り着いたのはどうやらアインシュタインが最初だったようです。これについては次回...


(注)同じ元素だけれど、中性子の数が違うものを、同位体、と言います。天然にある炭素の同位体の構成を調べると、ほとんどは中性子を6つ持った炭素12で、炭素13が1%ほど混じっています。

中性子を8つ持った炭素14は、大気圏の上の方で宇宙線による反応で作られるので、大気には含まれていますが、時間によって窒素14に変化(ベータ崩壊)します。生き物の中にある炭素は、大気と同じ割合で炭素14が入っているけれど、死んだとたんに炭素14は減りだすという事なので、木材などの炭素14の割合を調べると、いつ死んだのかが分かります。これが、炭素年代測定。そして炭素14の量を計測する一番精密な方法が、上に書いた質量分析法です。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

No title

すいません(汗)
自分は今受験生なので重力の話とかいろいろわかります♪
なのでこの記事は大変面白いですっ

そして私はアメリカに行ってみたいんですよねぇ・・・

風太さん

いえいえ、こっちが勝手に変えた事なので(笑)気にしないで下さい。

物理も勉強されてるという事ですね。理系の方面に進まれるんでしょうか?

アメリカですか…アメリカといっても色々ですよ。

No title

前後半を読んで、等価原理についてはわかった気がします。

なのですが、ニュートンの最初の式は何度、目にしてもとっかかりにくいです。
イメージしにくいというか。

2物体間で引き合う力が働いてるなら、反発する力も働いてる・・・んじゃないかな、と。
普段、あらゆる物がくっつきまくる光景というのは目にしませんし。

kashさん

>普段、あらゆる物がくっつきまくる光景というのは目にしませんし。

それは、重力が極端に弱いからです。これは、どんなに大げさな表現をしても足りないくらい、とにかく弱いんです。絶対に覚えていてください。

地球の質量は6000000000000000000000000kg(6×10^24kg)あります。こんなに大きな重力のもとがあっても、人間がペシャンコになるような力にはなりません。つまり、m1とm2が、人間サイズの質量だった場合、その間で起こる重力と言うのは、全く無視して良いレベルの話です

日常的に起こる現象は、ほぼ全て電磁力で説明出来ます。数トンしかないトラックにぶつかられるだけで、地球上の重力とは比べものにならない力がかかることから、電磁力の方が重力よりよっぽど強い事がわかります。電磁力の場合、2つの物体の電荷の符号が逆(プラスとマイナス)なら引き合い、符号が一緒(プラスとプラス、またはマイナスとマイナス)なら反発し合います。

天体の運動を考える際に、重力だけを考えていれば良いのは、質量はプラスだけなのに対して、電荷にプラスとマイナスがあるからです。天体の中には、電荷がプラスの陽子と、マイナスの電子がほぼ同じ数あるので、全体で見ると電荷は0と言っていいくらい小さいんです。一方、天体の質量は、足し算しか起こらないので、上に書いたような大きなものになり、重力はそれなりに大きな力になります。


あと一応ですが、引き合っているからと言って、くっつき合うとは限りません。あさっての方向に飛んで行かない、と言うだけです。ひもでボールを回した場合も、引っ張っているだけですから。(角運動量の保存を考えれば分かると思います)
FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

ブログ内検索
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
リンク
RSSリンク
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。