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観測選択効果

クラシックのコンサートに行った時、
どうしても咳払いをせずにいられなかったとします。

咳払いするタイミングとしては、
曲の合間、楽章の合間までなんとか耐えるのがまずベストでしょう。

耐えられなかったとして、次に良いのは大音量の時。
すぐ近くのお客さんしか邪魔しないですみます。

最悪なのが、静かに演奏してる時。
咳き込むのがホール中に響き渡ります。


シアトルの聴衆はどうも、
最悪の、静かな所で咳き込む人が多いんじゃないか、
とちょっと思ってるんですが、
本当にそうなのか、自信を持てない理由があります。

もしも、演奏のボリュームの大きい時と、小さい時で、
咳き込む人の数が一緒だったとしても、
音が小さい時の方が咳き込むのが聞こえやすいから、
多いように思えてるだけかもしれないんです。

これは、科学の手法を研究する人たちの専門用語だと、「観測選択効果」と言います。
仰々しい名前ですが、
使っている観測方法で目立ってしまうものは、多いように思える、というだけの事です。


院生1年目の時、昼食は大抵外食だったんですが、
ハンバーガーを学校に持ち帰って食べる事も時々ありました。

学校でそれを見ていた同僚が、
僕はハンバーガーばかり食べてるんじゃないか、
と思ったのも観測選択効果です(笑)


これを心得ておくのが一番大事だと思うのは、ニュースを見ている時。

ニュースというのは大体の所、非日常を扱う物です。
「今日、普通のサラリーマンが、
予定通りの時間に起きて、いつもの電車に乗って、普通に仕事をしました」
というのはニュースにはなりません。

事件・事故など、予想外の出来事が、
一番大きく取り上げられるニュースになるわけです。

海外発のニュースで、「え、こんな事があるの?」という事件の話を聞いたら、
多分、その国の人もそう思っています。
普通の話なら、その国でその話はニュースになりません。

他にも、サメの襲撃や、飛行機事故など、
実は多くない種類の事故が、結構多いんじゃないかと思ってしまったり、
ニュースというものの歪みを認識しないでいると、
世界の捉え方も歪んでしまう例が数え切れないほどあります。


占いや、オカルト系のものを信じる人がいるのも、
観測選択効果が大きな理由じゃないかと思うんですが、
この話はまた長くなるので今日はやめておきます。

テーマ : 科学全般
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

宇宙でも観測がバイアスを掛けていることがままあります。
科学的に妥当な判断を下すために、常に必要な概念ですね。

No title

すごく興味深く、面白く読みました。
オレがお茶を作って、そして飲んでるとこを見て
「お茶ばっかり飲んでる人なんじゃないか」
って思われても半分正解、半分誤解です。

だってビールも日本酒もたくさん飲みますからねww

adbmalさん

極端な例で、今まで見つかっている太陽系外の惑星だけから見ると、
惑星のほとんどは木星のように大きくて、恒星のすぐ近くを回ってる、
という結論になってしまいますよね。

観測者がいる事自体のバイアスを逆手に取った、
Anthropic principle(人間原理)というのもありますね。
あまり収穫が多いとは言えませんが。

バイアスを取り除くのは、科学的な判断を下すためには必須ですし、
日常生活でも心に留めておいた方が良い物だと思います。

びあさん

逆に、飲み屋でしかびあさんを見てない人は、
酒ばっかり飲んでるのかと思ってたりして(笑)

あと、お店のお客さんに、
「お茶とコーヒーどっちが好きですか」とか、
「お茶をどれくらいの頻度で飲みますか」とか聞いてみたら、
日本人ってみんなお茶大好きなのね、ってなりますよね。
お店に来てる時点で、すでにお茶好きな人が選択されてますから。

No title

専門用語というのは(私のレベルだと普通の漢字熟語も)、ずばり言いまとめているな~と気もち良いものと、何となくわかるんだけど・・・という感じのものと、まったく消化できないものがありますね。これは2つ目かしら。 
むかしテレビでフランスの方だったかが日本の家屋の狭さをアリの巣くらいと表現してアリの着ぐるみを着て馬鹿にしているというニュース(?!)が流れてて、『いくらなんでも酷いなあ。皆が皆日本の家は狭すぎるわけではないだろうに・・・』と思いその直後『・・・フランス人皆が皆こんな風に小ばかにしているわけではないんだろうな。』とも思ったりしました。
観測者かぁ・・・ バイアスって人間らしいですね~

kawazu8さん

ご無沙汰してます(汗)

これはあまり伝わらなかったように思います。
記事に書いた例が分かりづらかったかな、と。

「観測選択効果」って言うのが訳語なのも問題かもしれません。
英語だとselection effect、またはselection biasで、
偏ったサンプルを「選んでしまっている」事です。
(わざと偏らせているとは限らず、単なるミスの事もあります)

ちょっと検索したら、良い例が見つかりました。

「たとえば
①「世界でいちばん暑い国はどこか」を調べたい場合。
世界各国の8月の平均気温をサンプルとして統計をとってしまうと、南半球には暑い国はありえないことになってしまいます。
さらに、年間平均気温の統計をとったとしても、サンプルが1年だけだったりすると、それが異常気象でアジアが暑かった年だったとしたら、やはり間違った結果が得られてしまいます。
②「地震の多い地方はどこか」を調べたい場合。
精度の高い地震測定器を使うと、大きい地震は少ないけれども小さい地震がしょっちゅうだという地方が「地震の多い地方」という結果になります。
精度の低い自身測定器を使うと、大きい地震が来る地方だけが「地震の多い地方」という結果になります。」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1014874090

観測選択効果が、
必ずしも人間の頭の中にあるバイアスではないのは、
分かってもらえるでしょうか?

No title

なるほど客観的な結果として偏ってしまう。。
サンプリング・・・観測も難しいですね。
“では完璧なサンプルをと”考えて細心の注意を払う・・・というのも気持ちは解るけれど、そう完璧に意義のあることでもないのでしょうね。結果の判断の時点で効果を認識しつつ結果を見る必要があるということですね。
ありがとうございます!!!

kawazu8さん

世論調査などでも、
平日の昼間に電話で聞いたり、インターネットで聞いたり、
方法によって全然結果が違ってしまうんですよね。
統計を集めた後での処理がしっかりしていても、
それ以前からバイアスがかかっているかもしれませんから、
こういった調査の信憑性は、疑ってかかった方がいいと思います。

adbmalさんのコメントにもあるように、
自然科学でもある程度考えないといけない事なんですが、
人間社会に関わる事となると、
フェア(完璧)なサンプルと言うのは本当に作るのが難しくなるようです。
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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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