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ジレンマ?

問いかけ、その答え1答え2から読まないと、多分意味不明です)

「機械がチューリング・テストに合格することは出来るのか?」
という問いかけへの3つ目の答えは、
3.合格することは可能で、それはその機械が知能を持っていると言う事。
でした。

シリーズここまでで、
どうやら、この答えが正しいらしい事が説明できたと思います。


でも、この答えにも1つ問題があります。

最初の答えの記事で、こんな機械の話を出しました。

脳細胞の真似が出来る部品を作って、
人の脳の中で脳細胞が繋がっているのと全く同じように、
その部品を繋げていきます。

そうやって出来た装置に、
人に与えるのと同じ刺激を与えたら、同じ反応をするはずですよね?


記事の主旨は、こんな機械を作る事が、原理的には可能だ、という事でした。

この機械を、「脳シミュレーター」と呼ぶことにします。
フライトシミュレーターは、飛行機の操縦体験を100%真似できるわけじゃないですが、
脳シミュレーターは、脳を完璧に真似してくれる機械です。

あなたの体中の神経から脳に送られる信号を再現して、
あなたの脳を真似て作った脳シミュレーターに送ってあげれば、
脳と脳シミュレーターの中では、全く同じ考えが巡って、
全く同じ行動をするように指示の信号が出てくる、っていうわけ。


ここで、違和感、感じませんか?

僕らは、毎秒のように色々な選択をしています。
なにをしようか、どっちに行こうか、なにを言おうか、etc.

そして、こういった選択は、
どれを選ぶ事も可能で、
それを自分の意思で選んでいるものだと思っています。
自由意志」といわれるものですね。


脳シミュレーターは、どうでしょう?
脳シミュレーターを、同じ条件で繰り返し稼動させると、
毎回同じ考えをして、同じ行動を起こします。

という事は、
もし脳シミュレーターが、本当に僕たちの脳を100%真似しているのなら、
実際に選ばれなかった選択肢は、元々選ぶ事が出来なかったという事です。
自由意志なんて、無いわけです。


こんなおかしな事はありえない、と言いたいかもしれません。

ここで、僭越ながらシャーロック・ホームズになりきってみます。

ワトソン君、と(笑)

全ての不可能を消去して、最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実なのだよ。
(『4つの署名』より)


自由意志が無い、というのはとっても奇妙な話ですが、
ここまでの記事で説明した理由で、
他の選択肢は、もっとありえないわけです。
(「不可能」では無いですが)


なぜ、自由意志があるように感じられるのか?
という質問には、こういう答えが出来ます。

脳の働きの中で、意識に上るものはほんの一部でしかありません。
脳の中で、なにをどうやって感じたり、覚えたり、考えたりしているのかは、
当の本人にも全くと言っていいほど分かってないんです。

脳の中で起こっている事について、
自分の意識が当てにならない例は、いくつもあります。

目の錯覚を起こすように作られた画像は、
トリックだと意識では分かっていても、錯覚してしまいますし、
夢を見ている間は、これは実際に目で見ている事なのだ、と意識では思っているわけです。


こういった、意識が当てにならない例があるんですから、
自由意志など本当はないのに、あるように思ってしまっている、というのも、
十分可能な事だと思えないでしょうか?



最後に一言。

実は、量子力学という抜け道がある事はあって、
脳シミュレーターの反応が、毎回一緒ではなくて、ランダムで選ばれる、という可能性はあります。
ただ、脳の中に、普通の物理法則で表せない「魂」があるのでもなければ、
自由意志が無い、というのには変わりがありません。

テーマ : 心・脳・言葉・人工知能
ジャンル : 学問・文化・芸術

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非公開コメント

No title

なるほど
正直、こういう話題をちゃんと道筋立てて考えたことがなかったので、すごい勉強になります。
確かにアトランダムな選択というのは人間ならではのものに思えますよね
表層面に現れる意識だけで動いている訳では無いだろうけど、少なからず認識できる範囲では意識の外といえることは多々あります
俺のチアリーダーがブサイクだとか、飲み屋ががっかりだったという日記とは一味も二味も違いますねw

No title

興味深く読ませていただきました。

やはり、「魂」というのもあるのではないかと思います。
観測不可能であれば物理法則になんら支障はないのでそうならいいな、という希望を込めて。

ハルオさんのおっしゃるように、機械に知性を求めるときに人と同じものを求める必要はないと思っていたのですが、最後の結論を見て、論理展開に納得しました。

読めば読むほどわけわかんなくなってます(汗)。
これは、僕の頭が記事の内容に追いつけてないからですが。

例えば、同じ環境で育った双子に問題を出すとして、
「リンゴは赤いか?」
という問いにはイエスかノーの2択で答えることが可能ですよね。
しかし、
「リンゴといえば(何という言葉が思いつく)?」
と問うと、同じ環境で育った双子であっても(一方は「赤い」、他方は「おいしい」といった風に)違った答えを出すかもしれません。

このような、個性というか性格というか(適当な言葉が思いつきませんが)、、、その辺の違いについて、アシュリーさんはどのように考えているんでしょう?
(また、記事の中に該当する箇所はあるんでしょうか?)

こういった質問をするのは、アシュリーさんの記事を読んでると、ある人のクローン的な人工知能は作れるけど、完全オリジナルな人工知能は作れない、という風に(僕には)受け取れたからです。

ハルオさん

この話、
心理学、生物学、計算機科学、物理学、
どれとも重なってるんだけど、どこにも属しているわけではない、
という事で、どうも学校で習うような事とずれてるんですよね。
とても大事なテーマだと思うんですが。

自分の専門ではないですが、
高校の頃からちょっとずつ色んな本を読んでは考えて来た事で、
今日昨日になって考えついた事を書いたわけじゃないです、一応(笑)

adbmalさん

「観測不可能」ですか...
オッカムの剃刀から言うと、
観測不可能なら、無くていいじゃん、と思うわけですが(笑)
オッカムの剃刀も一種のバイアスですが、
サイエンスする上では、有用な考え方だと思います。
(検証できない事に時間を費やさないために)

話の順序は、
いきなり「人間に自由意志は無い」から入っちゃうと、
頭の中が「?」だらけになるだけですからね(笑)
掴みとしてアリといえばアリでしょうが、
デカルトの引用もあったのでこういう構成になりました。

kashさん

分からないとコメントしてくださってありがとうございます。
分からないけどいいや、と飛ばされてしまうと、
お互い学ぶチャンスを失ってしまいますから。

>同じ環境で育った双子

一卵性双生児がどんなに似ていると言っても、
本当に同一なのは遺伝情報だけです。

母胎内からすでに、受ける栄養に微妙な違いがありますし、
「同じ環境」で育ったと言っても、
同じものを、同じ距離で、同じ角度から見たりしているわけではありませんから、
受ける刺激には常に違いがあります。

双子同士の頭の中身は、赤の他人よりはずっと似ていますが、
同一ではないと言う事です。
ですから、双子の脳シミュレーターを作れば、性格の違いはちゃんと現れます。

>ある人のクローン的な人工知能は作れるけど、完全オリジナルな人工知能は作れない、という風に(僕には)受け取れたからです。

「ある人のクローン的な人工知能」の話をしたのは、
本当に話したかったのが、
人工知能の話ではなくて、人の知能の話だったからです。

チューリング・テストに合格するためには、
特定の人の真似をする必要は全くありません。
十分、人間らしければ何でも良いんです。

なるほど、人の知能にスポットを当てた記事だったんですね。
どうりで記事の内容がすんなり頭に入ってくれなかったわけです。

双子に対するアシュリーさんの返答は実は想像ついてました。
僕が同じ質問をされても似た返答するだろうし、それに関して異論はありません。

で、
記事の内容とは離れるかもしれませんが、
完全オリジナルな人工知能についてはアシュリーさんはどう考えてるのでしょうか?
これは個人的に興味があって尋ねてるんで、答えたくなければスルーしてもらって構いませんので。

kashさん

人の知能にスポットを当てたのは、この最後の記事だけですが、
この記事に向かうために、前の3つがありました。

>完全オリジナルな人工知能についてはアシュリーさんはどう考えてるのでしょうか?

クローンの人工知能より、ずっと作りやすいはずです。
クローンの人工知能は、あくまで思考実験として考えたアイディアであって、
実際に作ろうと考えている人はいないんじゃないかと思います。

聞きたかったのはこういう事でしょうか?

あ、はい。そういう事(作りやすさ)を聞いてみたかったんです。
どうも、ありがとです。

kashさん

すごく楽観的な人の中には、
あと10年くらいでチューリング・テストに合格できるAIが出来る、
と言っている人もいるようです。

個人的にこの分野の研究者を知っているわけではないですが、
慎重な人でも、今世紀中には作れる、と思っているような感じです。
課題なのは、ハードウェア(計算力)では無くて、
ソフトウェア(どういうプロセスで考えるのか)です。

No title

飲み屋ががっかりだったとかチアがブサイクだったていうのは・・・




その日の思い付きですねw

ハルオさん

あのだから、比較しちゃうと、
飲み屋ががっかりとかチアがブサイクって日記がかわいそうじゃないかなと(笑)
僕だってその日の思い付きだけ書いてれば、
おおよそ他愛の無いことになりますから。

No title

大学生の頃、たしかCognitive Psychologyというクラスだったと思うのですが受けていて。その授業は私ぜんぜんノートもとれず、実際教授が何を教えていたのか把握できず苦労したクラスだったのですが・・・なぜかいつも面白かった記憶はあります(教授のジェスチャーや表情がそうだっただけかもしれませんが)。
そのクラスにのぞむにあたって、私はそれまで“(人工知能などと難しい言葉を私が用いるのはどうかと思うけれど・・・)ただ、基本的に可能なんだろうな”と考えていました。ーで、そのクラスではよくその考え方が可能⇔不可能で揺らいだのを覚えています。
唯一覚えているのが、“私たちは光を感じて、色を感じて、カタチを感じて・・・。でも脳の中はその間も真っ暗。心なくして感じれるのか”みたいな。 
たまたま読んでいる本が、私たちが如何に経済的に最も良い選択をしないのかについてのようなんですが、人工知能を作った場合、そのような経済的エラーなんておこすのかしら。おこさないなら、やはり私たちとは違うのかしら・・・

kawazu8さん

大学で、もっとやっておけば良かったな、
と思う教科が今考えるといくつかあります。
Computer Science, Economics, Psychologyなど...
まぁ、Double majorだったので時間が無かったんですが(笑)

>“私たちは光を感じて、色を感じて、カタチを感じて・・・。でも脳の中はその間も真っ暗。心なくして感じれるのか”

コンピュータに関しても、同じことが言えますよね。
写真を取り込んだあと、コンピュータをどう分解しても、
中に写真がそのまま入ってるわけじゃありませんから。

>私たちが如何に経済的に最も良い選択をしないのか

偶然、僕もPodcastを聞きながら考えてた事です(笑)
記事にしてみますね。

経済的な選択をする、という目的がハッキリ決まっていて、
それに関しては間違いがない、っていう人工知能は今すでに作れると思います。
ただ、それはあまり深い知能とは言えませんよね。
「機械的」と言って、今の人が思い浮かべるタイプのものだと思います。

人間のように、何がしたいのか、という目標から考えるような人工知能が作られれば、
経済的な場面で論理的でない選択もするのではないかと思います。

No title

人だと認識されたとき、それは人になる。
最近twitterでbotを見かけるたびに、この記事を思い出します。
ふと目に留まった記事があったので、紹介させていただきます。特に最後のコンテストは面白そう。
http://d.hatena.ne.jp/coconutsfine/20090309/1236611519

adbmalさん

twitterはやらないのですが、人間を装ったbotがいるんですね(笑)
限られた場面とは言え、
チューリングテストなのには違いありません。
面白いですね。
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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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