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リスク、誤算

昨日はCDOという、サブプライムローンしか使わないでも、
安全(と思われる)な証券の作り方を話しました。
サブプライムローンを組んで、CDOを作って、高値で売る、という方法で、
銀行などの金融機関は大儲けをしたわけです。

ここまでは、ただのおいしい話のように聞こえます。
でもこの後、金融機関がいくつも経営破綻しました。
なにかがおかしかったって事は分かります。
なにが間違っていたんでしょうか?


一言で言ってしまうと、CDOを作った会社と、格付け会社が、
CDOの上の方の層にもあるリスクを、大幅に見誤っていたんです。

サブプライムローンなんてリスクの高いものから、
そんなに安全な商品が出来るわけがない、
というのは、むしろ常識的な考えだと思います。

でも、当時リスクを見積もっていた人達には、
リスクはあまり無い、というデータの裏づけがしっかりとあったんです。
勘では分かっていたのに、データで自分をだましていたんですね。


どうやってCDOのリスクを計算するかと言うと、
過去数年のローンの返済具合のデータから、
これから数年の予測をするわけです。

景気が良くなった場合、悪くなった場合、などと色々と予測を立てて、
最悪のケースでも、CDOに支払われる金額はこれくらいだろう、と予想します。
そうやって、データから出てきた展望は、どれもポジティブなものでした。


それはなぜでしょうか?
理由は主に3つあります。

1.数年前のデータと言っても、
バブルで家の値段が上がっている間のものだったから。

普通なら返済できない住宅ローンでも、
家の値段が大きく上がってくれれば、やりくりする方法がいくつか出てきます。

まず、家を売って、ローンを全部支払ってしまえば利益が出ます。
単に投機として家を買っていたような人の多くはこうしたでしょう。

買った家に普通に住んでいた人の場合も、
家のすでに支払いが終わった分を担保として、
新しいローンを借りる事ができました。

担保があるために、元のサブプライムローンより利子が低くなりますから、
この新しく借りたお金で、元のローンを返済すればいいわけです。

そういったわけで、バブルの最中は、
ローンの返済率が普段より高くなっていたんです。


2.各社とも、サブプライムローンを出すのに必死で、
ローンの審査基準を下げていたから。

どんなローンでも、CDOにすれば儲けが出るという事で、
銀行はローンの審査基準をどんどん下げていました。

バブルが壊れる直前には、
借り手の収入を聞くだけで、確認しない、とか、
収入を聞きさえしない銀行もあったといいます。

データに出てくるローンは、
サブプライムとはいっても、そんな無茶なローンではありませんでした。
データから予測したのより、返済率が落ちたのは当然です。


3.住宅バブルが、局地的なものだと思っていた。

これは専門用語で言うと、「相関性」があるかないか、という事なんですが、
例え話で説明します。

株に投資する場合、持っているうち1つの株が値下がりしても大きな損害が無いように、
投資を「分散」させるのが得策だと言われています。

でもこれは、単に色んな株を買えば良い、という意味では決してありません。

10年ほど前、ITバブル、ドットコムバブルと言われたのを覚えているでしょうか。
あのバブルの最中に、
分散投資をするぞ、と言って、AmazonとYahooとAOLの株を買った人がいたとしたら、
バブルが弾けた時に大損をしてたでしょう。

この場合にリスクが減っていない理由は、この3つの株が密接にリンクしているから。
(強い相関性があるから)
1つが上がる時は、大抵他の2つも上がって、1つが下がる時は、大抵他の2つも下がります。
違う会社の株を買ったからといって、同じ業界で買っているのでは分散になっていないんです。


CDOのリスクを計算した人達も、このようなミスを犯していました。

1つのCDOに含めるローンを全米各地から拾ってくる事で、
一度にみんなダメになるリスクを無くしていたと思っていたんです。

でも実際には、
ニューヨークでも、カリフォルニアでも、フロリダでも、住宅バブルが起きていました。
一度バブルが弾けたら、アメリカ中で家の値段が下がって、
返済率が一気に落ちたんです。


こういった間違いに薄々とでも気付いていた人は、沢山いたと思います。
それなのになぜ、銀行はCDOを作り続けて、
格付け機関はそれを安全だといい続けたのでしょうか?

これは、インセンティブの問題です。
こうすれば点が増えて、こうすれば減点される、
という「人生ゲーム」の設定が間違っていたんです。
(インセンティブは、何をするにしても大事な考えだと自分は思ってます)


銀行としては、ローンを証券化して売る事で、
ローンの返済が無くても自分たちには直接損が無い、
という状況を作り上げていました。

だからこそ、就職してるのかさえ分からないような人にも、
巨額のローンをしてしまったんです。

そして、銀行員個人が、これはおかしい、と思っても、
「周りの銀行はみんなリスキーなローンを組んで大儲けをしている。
うちだけやめたら潰れてしまうんだから、
黙ってお前もいい加減なローンでいいから作って来い」
と上司に言われて話は終わってしまうわけです。


格付け機関でも、似たような事が起きていました。

おかしな話で、格付け機関が債券を評価する際に、
その手数料を払うのは、債券を買う人(評価を一番知りたいはずの人)ではなくて、
債券を発行する側です。

なので、格付け機関3社のうち1社がもし、
「うちはCDOにAAAの評価などつけない」と言ったとすると、
CDOを作る銀行はみんな、他の2社に当たるようになります。
そうなると、基準を厳しくした会社は手数料が貰えなくなってしまいます。

債券を発行する側と、格付け機関の間で癒着が起きやすい仕組みになっているんです。
良い評価を出してくれれば、あなたの所にこれからも来ますよ、と。


こんな理由から、CDOの評価は、現実とかけ離れたものになっていました。

↓は、Normaという名前を付けられたCDOの履歴です。

CDO
(Wall Street Journalより)

まず一番左、
主にサブプライムローンを証券化した商品をかき集めます。
どれも、決して高くないBBBの評価を受けたもの。

それをCDOにしたとたん、
上層の75%は、国債並みの安全性、AAAの評価を受けました。

そして一番右、バブルが弾けたあとになって、格付け機関も間違いを認めて、
AAAだと言っていたものも全て、危険な「ジャンク債」だ、と評価を一気に下げたわけです。
この最後の評価が、一番現実に近かったのは言うまでもありません。
(材料のBBBの金融商品も、上で説明した理由からジャンクだったはずです)


このCDOの格付けの失敗が、
どうやって金融機関の破綻に繋がったのかも今日話して、
シリーズ終わりにするつもりだったんですが、
失敗した理由を長々と書いてしまいました。

明日に続く...

テーマ : サブプライムローン問題
ジャンル : 政治・経済

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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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