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物理学賞解説その8~南部・ゴールドストーン・ボソン

前回は、カイラル対称性とは何なのかを説明しました。
でも、なんでこの対称性が大事なのかはまだ全く触れてません。
前回話したように、実世界ではこの対称性は破れているわけで、
紙の上にしか存在しない対称性かもしれないわけです。


なんでこの対称性が大事なのかを説明するには、
南部・ゴールドストーン定理と言われるようになった、
南部教授の結論から言った方が速いです。

この定理は、
「連続的な対称性が、自発的に破れている場合、
その破れた対称性に1対1で対応した、質量の無い粒子が現れる」
というもので、
現れる粒子は、南部・ゴールドストーン・ボソンといいます。

1960年頃、カイラル対称性がどうやって破れているのか考えていた南部教授が発見したのは、
これが自発的に破れていれば、
対応した粒子が出てきているはずだ、という事だったんです。


実は、陽子と中性子を同時に考えた場合、
カイラル対称性は3つの対称性をひとまとめにしたものです。
(物を回転する操作を表すためには、3つの角度を与えないといけないのと関係があります)
なので、カイラル対称性の自発的破れからは、3つの質量の無い粒子が生まれるはず、
という結論を南部教授は出しました。

そして、当時知られていた3つ組の軽い粒子と言えば、
湯川秀樹が予測して、その通りに発見されていたπ(パイ)中間子。
(中間子については、その4で少し話しました)
π中間子には、電荷が+のもの、0のもの、-のものと、3種類あるんです。

他の性質も比較してみると、
カイラル対称性が破れた場合に出来るはずの粒子とπ中間子は、
見事にマッチしている事が分かりました。


ただ1つの問題は、π中間子は軽いけれども(陽子や中間子の7分の1程度)、
質量が無いわけではなかった事。

これは、カイラル対称性は自発的に破れる前から少し破れていて、
そのために、π中間子は質量が全く無いわけじゃあなくなってしまった、という事なんですが、
これは69年に、アノマリー(異常)と言われる現象が見つかるまで分からなかった事でした。
(アノマリーは一般向けには多分説明不可能です)


とにかく、南部教授の研究は、
対称性が自発的に破れると、それに対応して新しい粒子が生まれる事、
そして、カイラル対称性が破れる事で、
原子核をまとめている中間子が生まれている事を示しました。

これだけで、ノーベル賞を受賞してもいいかもしれない業績ですが、
自発的対称性の破れが受賞理由になったのは、
それが、素粒子物理で幅広く応用性の利くアイディアだったからです。
その応用の1つ、ヒッグス機構について次回話して、物理学賞の解説は終わりとします。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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