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物理学賞解説その6~自発的対称性の破れ

物理学賞の解説シリーズ、あとでまとめてリンクしておきますね。


ここまでは、CP対称性の破れと、小林・益川理論の解説でした。

もう1人、今年のノーベル物理学賞を受賞したのは、
シカゴ大学の南部陽一郎教授です。

受賞理由は、
「素粒子物理学における、自発的対称性の破れの仕組みの発見」です。
(「自発的対称性の破れの発見」と書かれている事がありますが、それは誤りです。
物性物理学といわれる分野で発見されたものを、南部教授が素粒子物理に移植したものです。)


「自発的対称性の破れ」とは何か、を説明しないと始まりません。

っと、その中身の説明をする前に、名前が不親切ですね。
自発的対称性の破れは、「自発的対称性」が破れるんじゃなくて、
対称性が「自発的に破れる」んです。
(自発的なのは、破れ方であって、対称性じゃありません)

ネットで見ると、対称性の自発的破れ、と書いているところもあります。
これの方が用語の並びとしては分かりやすいです。


っと、自発的対称性の破れとは何か、でした(笑)

定義から言うと、
物理法則には対称性が存在するんだけれど、
実際に観測される現象にその対称性が無い場合、
その対称性は自発的に破れている、と言われるんです。

2つ、日常っぽい例を挙げてみますね。


1つ目は、結構スタンダードなものです。

何人かのグループが、丸いテーブルで食事をする事になりました。
全員が席に着いたところで、水がコップに注がれます。

ただ、コップはどれも、ちょうど人の座っている間に置かれているとします。
みんな、右側と左側、同じ距離にコップがあるわけです。

誰も水を飲んでいないうちは、
どちらのコップを選んでも一緒です。
右と左を入れ替えても状況は一緒、対称性があるわけです。

でも、そのうち誰か1人が水を飲みます。
この人が右側のコップから飲んだのなら、
他の人はみんな右側のコップから飲まないといけない事になります。

一度これが定まってしまうと、右と左を入れ替えるわけにいかないので、
あったはずの対称性が無くなってしまうんですね。

これは、車の右側通行・左側通行の話にも出来ます。


2つ目の例は、自分のオリジナルです。
違いは結構微妙ですが、書いてみますね。

mixiとGREEが、同時にサイトを開設して、
全く同じ機能を持っていたとします。
(話の都合上、片方にしか入れない事とします)

この場合、最初の頃に入会する人は、
どちらでもいい、と言うはずです。
mixiとGREEを入れ替えても、状況は一緒。この2つは対称な状態です。

ただ、何らかのきっかけで、mixiの方が人数が多くなったとします。
そうすると、まだ入っていない人は、
mixiの方が友達が多いから、と言う事でmixiに入りたがります。
GREEにすでに入っている人も、mixiに入ってくるかもしれません。

こうなると、対称性は破れてしまっています。
最終的には、みんなmixiに入ってしまうかもしれません。
mixiとGREEの機能性は全く一緒なのに。

機能性(物理法則)は完璧に対称なのに、
一番安定する状態は対称ではなくなってしまう。
これが、自発的対称性の破れ、です。


違いがあるとすれば、
最初の例だと、1人が右側を選ぶと、その後はみんな右側を選ばないといけないのに対して、
2つ目の例だと、必ずしも全員が同じ選択をするとは限らないところです。

実はどちらも、磁石を説明するために作られた、
イジング模型という理論を日常に当てはめたものです。
最初の例は、磁石の温度が絶対零度の場合で、
2つ目の例は、磁石は低温だけれど、絶対零度ではない場合に対応します。

個人的には、絶対零度でないのが普通なので、
日常でも広く当てはまるように思いますが(笑)


次回は、このアイディアがどういう風に素粒子物理に使われたのか、
そして、自発的に対称性が破れたら、それがなんだっていうのか、
説明しようと思います。

2回で終わるのか、3回かかるのかまだ分かりません。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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非公開コメント

よくわからないです。

全ての記事を読ませていただきました。かなり簡単に書かれていたので、わかりやすかったです。

”自発的対称性の破れ”はよく解からなかったです。たぶん何かをきっかけにして対称性(物理法則)が破れるということですよね?何がわからないかがわからないんですよね。もう1つ今言っている対称性は物理法則ともう1つあると思われるのですが、何についていっているのでしょうか?

オレンジさん

いえ、物理法則は対称なままなんです。
破れているのは、観測される現象や、物の配置の対称性です。

mixiとGREEの例で、物理法則に当たるのはそれぞれの機能性です。
両方の機能はずっと同じままなので、
物理法則の対称性は最後になっても破れていません。

なにが破れているかと言うと、
物の配置、つまり会員数の対称性です。

機能が同じなら、同じ数の会員がいるんだろう、と思いますよね?
物理法則が対称的なら、物の配置も対称だと予測されるわけです。
ただ実際には、会員の数は偏ってしまっている、
というのが自発的対称性の破れです。


なぜ物の配置が対称でなくなってしまうかと言うと、
対称な配置が、不安定になってしまっているからです。

これは、左右対称な山の上に、ボールを置いてみると分かります。
(この場合も、物理法則は常に左右対称、と言うのは分かってもらえるでしょうか?)

ちょうどど真ん中にボールを1つ置けば、それは真ん中に止まったままで、
配置は左右対称なままです。

でも、少しでも風が吹いて、真ん中からずれてしまうと、
斜面に沿って一気に下まで落ちて行ってしまいます。

自発的対称性の破れが起きるのは、
このように、左右対称でない配置の方が、
対称な配置よりも安定しているからです。

なるほど!

わかりました。一番最初に対称性の説明があったので、物理法則のことを言っているんだと思ってました。僕は1番目の記事を読んだ時、物理法則の並進対称性が破れる話をすると思っていたのですが、そういう話にはならないのでしょうか?なんだか僕は初めで躓いてしまっている気がします…。情けないです。

ところで、僕は最近の日本人のノーベル賞受賞には少し懐疑的です。ここから下は邪推しているので、不快に思われるかもしれません。不快な思いをした場合はすみません。念のために断っておきますが、これはノーベル賞をとった人の能力には関係のないことです(不快だった場合はこのコメントを削除してください)。

小泉政権の時に(5年位前)、”100年でノーベル賞受賞者100人とらせる政策(?)”みたいなのができて、それから日本人のノーベル賞が増えてきている気がします。つまり、ノーベル賞に政治的な何かが介入していると僕は考えています。CP対称性の破れで受賞したノーベル賞受賞者にカビボ氏が抜けているのはそのためだったのではないでしょうか。僕には今回のノーベル物理学賞は強引に日本人を3人にとらせた気がします。もちろん、3人ともノーベル賞をとれるだけの能力はあると思いますが。

ところで、他の人に自分の分野を教えるのは、どこまで相手が知識があるのかわからないので難しいと思います。僕もそういうことが時々あります。そういう場合は、相手を限定して話をすればいいと思います。例えば、理系の高校生相手に話すように書いてみるとか。もし、一般向けに書きたいのであれば、(文系の)高校生に話すように書いてみれば、だいたい相手の基準がわかるのではないでしょうか。参考になればいいと思います。

アシュリーさんの話は素粒子にしては簡単に説明されていて、分りやすいと思います。

オレンジさん

最初に物理法則の対称性の説明をしたのは、
現代物理学で対称性が重要視されてる事は、
物理にかなり興味を持ってる人しか知らないと思ったからです。

南部教授の受賞理由になった研究は、
カイラル対称性の自発的破れです。
これはまた、説明しますが...(まだどう説明するか考え中です)

日本人のノーベル賞ですが、確かに2000年以降8人出ています。
ただ、そのうち4人は2000年から02年にかけての受賞で、
小泉政権が始まったのが2001年の事。
関係ないように思います。
第一、日本にそんな政治力があると思いませんし。
(あるとしたら、もっと他の場所で使って欲しいですし、苦笑)

>(文系の)高校生に話すように書いてみれば
これは参考になりそうです。
一応、このブログをこれまで読んでいる人向けに書こうとしていたんですが、
どうもそう言う人からあまり反応がなかったので。

No title

>日本人のノーベル賞ですが、確かに2000年以降8人出ています。
ただ、そのうち4人は2000年から02年にかけての受賞で、
小泉政権が始まったのが2001年の事。
関係ないように思います。
第一、日本にそんな政治力があると思いませんし。

僕もこの話は邪推の範囲ですから。小泉政権について調べて根拠も考えようとしたのですが…。ウキペディアがありましたね。
邪推しておきながら、正直あまりこういうことは考えたくないです。

次の記事を楽しみにしています。
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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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