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クエンチ

地球破滅と違って、
物理学者が実際に恐れていたトラブルが発生しました。
LHCの実験予定が、2ヶ月ほど遅れそうです。


LHCが何をするのかは、この記事で大まかに説明しました。
トラブルが起こったのは、陽子を軌道に沿って曲がらせる磁石の1つ。

LHCが陽子を軌道に沿って加速させるための磁石は、
リニアモーターカーで使われるようなものと一緒です。(原理も似てます)

N極とS極を素早く切り替える必要があるので、
使うのは永久磁石じゃなくて電磁石。(コイルの電流の向きを変えて極を切り替える)

さらに、強い電流で加熱しないように、超伝導体をコイルに使っています。
電流を流して加熱するのは、電気抵抗があるから。(摩擦熱です)
超伝導体は、電気を超通しやすい物質、電気抵抗の無い物質です。


LHCが粒子物理学の先端に行けるのは、
超伝導電磁石(カッコいい名前、笑)のおかげなんですが、
超伝導電磁石には、欠点、と言うか不便な事があります。

それは、かなりの低温でないと超伝導体は超伝導してくれない事。
冷やせば超伝導体、って言う物質も、
室温だとタダの伝導体、電気抵抗があるんです。

そのために、LHCの電磁石は液体ヘリウムで冷やされて、
絶対零度までたった1.9度と言うところまで温度を下げられてます。


ここまでは、不便だけど、予定内の話。

トラブルになるのは、
実験中に、なんらかのきっかけで、電磁石の温度が上がってしまって、
超伝導体ではなくなってしまった時です。

これが、今回起こった、クエンチと呼ばれる現象です。

普通のコイルになってしまっているので、電気抵抗があります。
そのコイルに、大量の電流がかかった状態。
温度は一気に上がってしまいます。

周りの電磁石も超伝導しなくなってしまいますし、
磁石を冷やしていたヘリウムが、気体になってしまいます。


今回のクエンチでは、約1600個の磁石のうち、100個ほどが加熱されてしまい、
ヘリウムの漏れもあったそうです。

トラブルのあったセクターを一度暖めて、磁石を修理、交換。
それからまた-271℃まで冷やす、と言う事で、
同じ段階に戻るまでに恐らく2ヶ月ほどかかるそうです。
(修理するのよりも、暖めるのと、冷やすのに時間がかかります)


来月に実験開始、っていうのはこれで無し。
それは残念ですが、
クエンチが可能性の十分あるトラブルだと言うのは知られていましたし、
物理学のコミュニティーとしては、
ここに来るまでに待った時間を考えれば、大した事ではありません。

本当は去年スタートするはずだった実験ですし、
もっと遡れば、アメリカでSSCと言う加速器を建設中だったのが、
議会に資金をキャンセルされたのが93年の事。

メディアと違って、最近になって騒ぎ出したわけじゃないんです。


月曜に、インサイダーの人のプレゼンがあるんで、興味深く聞いてきます。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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