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運命~その2

前回は、ニュートン力学が成り立つ世界では、決定論も成り立つらしい、という話でした。

ある時点での宇宙の状態が分かれば、その後に起こる事は決まっている、という事。言い換えると、宇宙の始まりの状態さえ決まれば、宇宙で起こる全ての出来事はすでに決まってしまう、という事にもなります。見方によっては虚無的な世界観ですね。


でも実は、決定論は成り立たないんじゃないか、と物理学者が考えるようになったのが、20世紀の初頭。量子力学の発見による変化でした。

量子力学については、このブログでは多分一度もちゃんと話していないんですが、ポイントを絞って頑張ってみます。


最初から結論を言ってしまうと、原子などのミクロの世界では、1つの粒子がどう振舞うのかを予測する事は出来ないらしい、という実験結果がどんどん出てきたんです。

その1つは、粒子の崩壊。不安定な物質が、他の物質に変化するプロセスです。崩壊する物質(放射性物質)は沢山ありますが、例として中性子の話をします。


中性子は、陽子と一緒に原子核を作り上げている粒子ですが、単独で置いておくと崩壊してしまう不安定な物質です。放っておくと、陽子、電子、反ニュートリノの3つの粒子に変化してしまうんです。崩壊するまでにどれくらい時間がかかるかというと、平均寿命が約15分。

この平均寿命が15分というのは、15分経つと一斉にみんな崩壊する、という事でしょうか?違います。

中性子の数の変化をグラフにすると、下のようになります。
exponential decay

これは、指数関数のグラフ。銀行に預けたお金が利子で増えるのと同じです(時間が逆なだけ)。銀行にお金を預けると、1月に何%か、特定の割合で増えていきます。中性子の数も、一定の時間経った後で測ってみると、何%か、一定の割合で減っていく、という事。

グラフでも分かるのは、約10分経ったところで中性子の数は半分になって、また10分経つと、そのまた半分の4分の1になっている事。半減期が約10分、という言い方をします。


沢山の中性子を一度に観測すると、上のようなデータが出て来るわけですが、1つ1つの中性子を見た場合にはどうでしょう?

1つの中性子が、10分経った後に崩壊している確率は約50%です。でも、ある特定の中性子が崩壊するかどうかを予測出来るかのかどうか、が決定論の話をする際には問題になります。

そしてこれについて言えるのは、10分経った後に崩壊する中性子と、崩壊しない中性子を区別する方法は、知られていない、という事。ここまで分かっている限り、崩壊する中性子としない中性子に、性質の違いというものはないんです。


要するに、中性子の崩壊について予測できるのは、それが起こる確率だけ。1つの中性子を観測しているとして、その中性子が最初の1分で崩壊する可能性もあれば、何時間も崩壊しない可能性もあって、実験前には、それぞれの出来事が起こる確率しか分からないんです。


この発見からすると、決定論は間違っている、と考えられます。同じ状態の物質を作っても、その後の出来事が変わってしまうわけですから。

宇宙の始まりの状態が分かっても、その後の出来事について分かるのは、それが起こる確率だけ。決定論に代わって、確率論が正しいとされるようになったんです。

アインシュタインの、「神はサイコロを振らない」という言葉は聞いたことがあるかも知れません。これは、この確率論的な見方に対する反発です。彼は、崩壊する中性子と崩壊しない中性子には、今のところ観測されていないけれど違いがあるんじゃないか、と考えていたんですね。物理法則は決定論的だと信じていたんです。


さてこの話、もうひと捻りあるんです。次回は、実は量子力学も決定論的なのでは、と言う話。説明できるんだろうか…
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テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

運命~その1

運命、というより「決定論」の話をします。いくつか違う場所で話題に上ったので。

まず定義から。Wikipediaを見てみると、
決定論(けっていろん、英:determinism)とは、あらゆる出来事は、その出来事に先行する出来事のみによって決定している、とする立場。

この世界で起こる事は全て、今までの出来事や、今までの状態だけから決まっている、という考えです。運命はある、というより、運命しか無い、という立場ですね。


これを信じたくて信じているような人は珍しいと思うんですが、実は、物理学的に、この世界は決定論的だと考えられていた時期があります。

高校で習う物理学(ニュートン力学/古典力学)で物体の運動を求めるために必要なのは、ニュートンの第2法則。
2nd law
Fは物体にかかる力。mが物体の質量で、aが物体の加速度。つまり、物体の質量と、それにかかっている力が分かれば、この物体がどのように加速されるのかが分かる、というのがこの式の語っている事。

ここで、どのような力が働くのか、というのが問題になりますが、これは、全ての物体の位置と速度が分かれば、分かるものだと考えられます。ニュートンによると、2つの物体に働く重力はお互いの位置が分かれば分かるもの、でしたし、電気や磁気による力が研究されるにつれて(18~19世紀)、これも物体の位置や速度が分かれば力が分かるものだと分かってきました。


という事は、です。

ある時点での宇宙全体の状態が分かれば、その後の宇宙の状態は原理上は計算できる、という事になります。もちろん、人間にはこんなすごい計算は無理なわけですが、人智を超えた存在が、もし世界全体の状態を知っていたとすると、未来の全ての出来事がこの知能には分かる、と言ったのがフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラス。

現実的には、そんなすごい計算はできないし、宇宙全体の状態を知ることも出来ませんが、答えがある、全ては決まっている、というわけです。この人智を超えた知能の事は、ラプラスの魔、と呼ばれています。


とにかく、この物理的な決定論は、19世紀には主流と言っていい考え方でした。

次回は、決定論が揺らいだ物理の発見について。

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選挙ゲーム

まず最初に、この記事は政治、選挙というプロセスについての学者的な興味から書いています。Twitterでも但し書きをしたんですが、今回の参議院選挙は在外投票し損ねましたし、この政党が絶対に良い、というような強い希望は持っていないので、結果について文句が言いたいとかいう話ではありません。

なので、できるだけ一般論になるようにしています。抽象的な話が苦手な人にはあまりオススメしません。


前回は、前提から全部疑ってかかろう、という話でしたが、今回はいくつかまず前提を決めてしまいます。

まず、民意を反映するのは良い事で、選挙の目的は出来るだけ正確に民意を反映する事だとします。

民意というのはこういうふうに定義します。有権者それぞれ、政党・候補者の評価を持っています(分かりやすく10点満点の評価としてもいいです)。この情報全てを、有権者全てについて集めた集合を、「民意」と呼びます。普通の意味での「1つのモノ」では無いのに注意。

民意をより正確に反映する、と言うのは、集められた情報の出来るだけ多くが、捨てられる事なく選挙結果に影響を及ぼす、という事とします。(少しグレーエリアがあるんですが、今回無視します)


まず、有権者1人が、実際の(日本の)選挙制度で投票する場合、どういった意見を1票に反映させているのか考えてみましょう。

前回の、kashさんのコメントへの返事で書いた事を少し言い換えます。投票する人が、投票する事で達成しようとしているのは、
1.自分の望んでいる選挙結果になる確率を高める(厳密に言うと、満足度の期待値を最大化する)
2.結果と関係なく、政治について自分の意見を表明する
という2つの事です。どちらかだけの人もいます。

まずは、単純な2番から。

自分の意見を表明する、という事だけが目的だとすると、投票する際に考慮しているのは、選挙区でどの候補が一番望ましいか、比例代表でどの政党が一番望ましいか、という情報だけです。


1番の場合は、もう少し複雑な判断が必要になります。

例えば、1人枠の選挙区の候補に、とても良いと思う人(Aさん)がいたとします。ですが、Aさんは世論調査では5%ほどの支持しか得ていません。当選する確率があるのは、他の候補2人(Bさん、Cさん)だけと見られています。選挙結果を自分にとってより好ましい方向に向かわせたい場合、Aさんに投票するのは賢明でしょうか?答えはNo、です。Aさんに投票してもしなくても、落選することはほぼ確実ですから。

この場合に考慮するべきなのは、BさんとCさんの間でどちらの方が良いのか。Aさんが一番いい、という事は票には現れません。

このように、結果を求めるために一番好ましいと考える選択をあえて避けるのを、戦略投票、といいます。今回の話の前提から言うと、出来れば無くなるようにしたい行動です。(情報が票に現れることもなく捨てられてしまうので)

比例代表の場合は、1票増えればその党の議席が増える確率が確かに増えるわけで(1議席も貰えないような政党でなければ)、この問題は大体のところ回避されます。大体のケースでは、死票が多い投票方式の方が、戦略投票をする人が増えます。選挙結果と関係無い選択肢が多いので、一番良いと思っていても避けないといけない、という人が多いわけです。


というわけで、Bさんがこの選挙区で当選した場合に反映された意見というのは、
1.Bさんが一番好ましい
2.BさんとCさんの間だと、Bさんの方がいい
という2つの意見です。

ここで気付いて欲しいのは、
1.誰が一番好ましいか
2.有力候補の間で誰が一番好ましいか
という2つの情報以外は全く票に反映されないという事です。


つまり、この候補・政党は絶対に嫌だ、というような積極的にネガティブな評価は、現行制度の選挙ではあまり結果に反映されないと言えます。大抵の場合、嫌っている人が多いということは、好んでいる人が少ないですから、これはあまり問題ではありません。

ですが、必ずしもそうとは言えません。例えば、有権者の30%は熱烈にサポートしているけれど、他の70%は絶対に嫌だと思っている候補がいた場合、単なる多数決では当選する可能性が十分あります。


どうやったら、有権者が望んでいない結果、というのを結果により反映できるようになるでしょうか。単純な多数決ではないので少し分かりづらい、というデメリットはありますが、解決策はあります。それは、候補の順位を投票する、選考投票というシステム。候補に、1番、2番、と好ましい順に順位を付けたものを投票するんですね。

順位を集計して、勝者を決める方式にはいくつかありますが、それなりに単純だと思われるのはinstant runoff voting(IRV)というもの。(Wikipedia

まず、候補それぞれが1位に指名された数を比較して、一番人気のなかった候補(Dさん)が落選します。ここで大事なのは、Dさんに入った票はまだ無効にはなりません。この票で2位に選ばれていた候補が、繰り上がりで1位の評価になるんです。

この繰り上げを行ったあと、また1位に指名された数を比較して、最下位の候補を除外。その人を選んでいた票は、次の順位に選んだ候補の票に。という風に繰り返して、最後に1人残った人が当選、という仕組みです。

…これだけで分かりづらかったら質問してください。


IRV方式の場合、30%の人が熱烈にサポートしているけれど、70%には嫌われている候補はどうなるでしょうか?

この候補は1位票が30%もあるので、除外されずに残り2、3人の所までは確実に進みます。でも、70%の票では、この候補は一番下にランクされています。という事は、残り2人の最終決戦の時に70%対30%で確実に負けるんです。


この投票方式は、戦略投票を避ける方策にもなります。

単純多数決の選挙では、Cさんが一番好きだけど、当選しないと思うから入れない、と言う人が出る話をしました。選考投票の場合、当選する確率が低くても、Cさんを1位にして損はありません。Cさんが当選しなくても、繰り上がりで次に良い人の票、その次に良い人の票、として効くので、死票にならないんです。


この制度がいきなり日本の国政で導入される可能性は小さいと思いますが、メリット・デメリットを考慮するだけの価値はあると思います。どうでしょうか?Wikipediaの記事を見れば分かるように、海外には導入されている場所がいくつかあります。

テーマ : 選挙
ジャンル : 政治・経済

そもそも

政治の話を聞くと、嫌気がさす事がよくあります。なぜかというと、「そもそも」の部分をほったらかしにして話が進められるから。

〇〇は良い事だ、××は良くない、という事が大々的に宣言されるだけで、それがなぜ良いのか、悪いのかに突っ込んだ議論というのがほとんど無いんです。これは日本でもアメリカでも一緒。

それぞれの、「そもそも」の部分についての考えがハッキリしていないので、政治の議論というのは大抵、その「そもそも」の部分の不一致のせいですれ違って終わり。不一致に気付いているのか気付いているのかは知りませんが、根底まで掘り下げなければ進歩があるわけがありません。(進歩するために議論しているわけではない人もいるのは承知です)


思い付いてTwitterに書いたものだけですが、政治について、そもそもみんなどういう考えなのか聞いてみたい、というのを単にリストアップします。


投票率が低いという事自体は、悪い事なのか。低いとどういった問題が起きるのか。その問題は、投票率が低いこと以外にどんな原因があるのか。

民意とは何か。1億人、それぞれ考える理想の社会がある。それをどうやって集めて、どうまとめれば、「民意」という1つのものになるのか。そんな1つのものはそもそも存在するのか。あるとしても、それをどうやれば政治に反映出来るのか。実際、どれくらい反映されているのか。反映するのは常に良い事なのか。

政府に何を求めるのか。政府がないと出来ないことは何か。政府のほうが民間より上手く出来ることは何か。民間に任せたほうがいいのは何か。どちらがいいのかを誰がどうやって判断するのか。


そんなもの当たり前だろう、と言われそうなものも入っているかと思いますが、あえて聞いています。当たり前なら、簡単に説明できるはず。簡単に説明できないのなら、もっとしっかり考えるべき問題だということです。

お題が多すぎてまとまりが無いところはあるかと思いますが、返答は、1つに対してでも全部に対してでも、ここのコメント欄でもTwitterの方でもどうぞ。

テーマ : 2010参院選
ジャンル : 政治・経済

マイクロクライメイト

ベイエリアの天気予報を見ると、近所なのに全然天気が違う、ということが往々にしてあります。

参考に、サンフランシスコ・クロニクル紙の天気ページ→リンク。Bay Area Forecastと書いてあるところで、ベイエリア各都市の最高気温、最低気温が見られます。(温度の単位が華氏ですいません…って自分が謝る事じゃないか)

例えば、明日のサンフランシスコの最高気温は華氏63度(17℃)。

サンフランシスコ湾の反対(東)側、オークランドの最高気温は華氏72度(22℃)。

湾の南側のサンノゼでは華氏79度(26℃)です。

半径100kmも無い範囲で、標高に大した差はありません。


何でこういう事が起きるかというと、起伏の激しい地形と海、そしてその地形に影響される風の関係なんですが、実際どういう風にこのパターンが現れるのか、とても気になります。日によって全然違うというわけでもなく、大抵サンフランシスコが一番涼しく、サンノゼなどのサウスベイが一番暖かいんですね。

近くのナパバレーがワイン産地なのも、その場所特有の気候のおかげなので、ベイエリアの微気候に付いては色々と研究されているものと思われます。どこで調べれば出て来るかなぁ?(というかまだ調べてないだけ)

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

ソマリア

アフリカの年といえば、1960年。

アフリカにあった17の植民地が独立した年です。(Wikipedia

その50周年という事で、今年は独立50周年を祝うアフリカの国がいくつもある事になります。


7月1日に独立記念日を祝ったのが、ソマリア。

最近ではソマリアと言えば、海賊、となってしまいましたね。数多くある部族の間での内戦が続き、政府の力が弱い国です。


来月フィジーに行く予定なのもあって、最近考えていることの1つに、政治の安定性と経済的発展があります。

クーデターなど無しに政権が平和的に明け渡されるシステムや、どういった場合には確立されて、どういった場合には成り立たないのか。一度不安定だった地域が、安定するケース、その逆のケースには、どういうパターンがあるのか。賄賂などの政治腐敗は、どのようにすれば減っていくのか。こういった要素が、途上国の経済発展にどれだけ影響を持っているのか。

現時点ではぼんやりと考えているだけなので、書ける話があるわけでもないんですが。


ソマリアの場合、70年代前半には、独裁政権とは言えそれなりに安定した政府があり、BBCの記事を見る限りでは、比較的水準の高い生活をすることが出来たようなんですね。それが内戦の勃発で終わった、と言うんですが、どうもそう一言でまとめられるシンプルなストーリーではなさそうです。

系統だった情報を見てみたいところです。


ソマリアといえば、もう1つ思い付くのが、ヒップホップアーティストのケイナーン。ソマリア生まれで、13歳の時にカナダに移住した人です。ワールドカップのテーマソングを歌ってます。(FIFAのじゃなくて、コカ・コーラのだけど)

コカ・コーラのバージョンは正直ダサイので、元の曲を↓


でも、この方がいい曲。

ソマリアにいた小さい頃、好きだった女の子が殺されてしまったことを歌っています。事実かどうかは知りませんが。

テーマ : アフリカ
ジャンル : 海外情報

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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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