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言葉

何年もブログを書いてきて、今更言うのもなんなんですが、言葉、って苦手なんです。

自分にとっての言葉は、単に、何かを他の人に伝えるための道具。文章が、良い文章なのか悪い文章なのかは、書かれている事が伝わりやすいかどうか、だけで判断されます。

でも、言葉ってそれだけじゃないんですよね。例えば詩なんていうのは、分かりやすくするのが目的じゃなくて、特定の言葉、言葉の組み合わせを選ぶ事自体で、表現をしているわけです。小説でもなんでも、文学作品なら多少はその傾向があります。苦手、というのは、この発想が自分の中からはなかなか出てこないということ。


同じ理由で、歌詞、も苦手です。

歌を聴いているときは大抵、声は単に音として聴いています。たまに、この歌詞はいいな、または酷いな(笑)、とふと気付いたりしますが、気付かなければ単にもう1つの楽器として聴くだけ。

だから、外国語の歌でも全く気になりませんし、自分の好きな歌手というのは、声が綺麗な人や、(音として)面白い歌い方をする人。


人の言葉を引用するなんて言うのも、とても出来たものではないです。言葉を読んだり聞いたりした時点で、表されている概念に脳内で変換されているので、どの言葉がどういう順番で使われていたのかなんて忘れてしまうんですね。


もっと詩的な表現などを、理解出来るように、使えるようになりたいなとは思ったりもしますが、頭の構造的にどうも難しいようです。鍛えようと思っても、躓いてばかりですからね。あまり楽しいとは言えないです。壁を通り抜けて、楽しめるようになるという保証もありませんし。

でも、芸術が分からない、とかいう話ではないですから。ブログを読んでくれている方なら知っていることですが、音楽や絵画は好きなんです。

だから、言葉だけはドライな方に特化してしまって、勝手にそっちで楽しんでいた方がいいのかも、という結論になるのかな。
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テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

チュー長官

来月、セントルイスの母校を訪れるんですが、エネルギー省のスティーブン・チュー長官の話が聞けるみたいです。

97年にノーベル賞を受賞した物理学者で、オバマの声が掛かる前はバークリーにあるローレンス・バークリー国立研究所の所長でした。

という事は、自分がバークリーに来るちょうど半年前にバークリーからいなくなった人なんで、話が聞けてラッキーな感じです。


ノーベル賞を受賞した研究は、レーザー冷却。レーザーを使って原子の運動を遅くして、結局は1つの場所に固定(トラップ)する方法を編み出した人の1人だったんですね。

チューが初めて原子をトラップした時の話。

"I told my boss .... `Guess what? I just trapped an atom.' He said, `Great. What are you going to do with it?' I said, `I don't know, but it's great!'"

訳:
チュー「ちょっと聞いてよ。1個の原子をトラップしたんだよ」

ボス「やったな。で、それをどうするんだ?」

チュー「わかんない。でもスゴイんだよ!」

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

ハッブル20周年

ビジュアリゼーションといえば…

ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ20周年です。

英語ですが、ビデオ↓
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8638263.stm

テーマ : 天文学
ジャンル : 学問・文化・芸術

ビジュアリゼーション

数学が苦手/嫌いだから物理も苦手/嫌い、と言っている人は結構いるんですが、物理が苦手な人には、実は数学以外の所でつまずいている人の方が多いように思うんですね。それはなにかというと、物理の問題を、頭の中に思い浮かべて視覚化する事です。

まぁ、数学でも大事な事なんですが、これが必要のない数学の分野もあるので。


例えば、なぜ四季があるのか、という質問の答えを一言でいうと、地球の自転軸が傾いているから、です。(まぁ、これは物理と言うか天文学だけど…思いついた中で一番わかり易い例だったので)

これが質問の答えとして理解出来るためには、太陽の周りを公転しながら、同時にコマのように自転する地球を思い浮かべた上で、地球のどの部分に太陽が当たっているのか、というのを頭の中にイメージしないといけません

これを言葉で聞いただけではイメージするのが難しい、という人は、普通の物理の授業でこういう風な話を聞いてもワケが分からず、物理に苦手意識を持ってしまうわけ。教科書にイラストがあっても、立体的な関係がわかりにくかったりします。


そんな事にならないようにするには、ローテクなやり方だと模型を作って見せる方法があります。3次元のイメージを持たせたいのだから、3次元のモノを見せればいい。当たり前の話です。

今のご時世、わざわざ模型を作ってクラスに運び込まなくても、コンピュータを使って簡単に色々な画像、動画が作れますし、生徒1人1人が好きなように模型をいじれるようなインタラクティブな教材を作ることも出来ます。


苦手意識を持たれてしまうと、普通に教えるだけでも大変なのに、それ以上に労力が必要になってしまうんですよね。入門レベルでは、分かりやすさを目指す授業、板書するだけではない授業をどんどん試してもらいたいものです。

↓英語ですが、なぜ四季があるのか。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

続・物理と数学

前回の続き。

今度は、別に研究したり、大学で専攻するわけでもないけれど、物理学ってちょっと気になるな、と言う人は、数学が出来ないとダメかどうか、って話。

これは、当然、出来た方が良いのは間違いないんですが、数学が出来なくても良い、とあえて言いたいです。そう思ってなければ、物理のいろんな話を、一般向けのブログでやろうとは思いませんしね。


物理に限らず、科学全般に言えることで、大事なのは、いろいろな現象を説明する事なんですね。物理を理解する、と言うのは、公式に当てはめて計算が出来る事ではなくて、なぜその公式が成り立つのか、その原理を知る事です。


例を挙げた方がいいですね。

相対性理論によると、光速に近い速さで動いているものは、前から後ろへの長さが縮んで(ローレンツ収縮)、その物が感じる時間の流れが遅くなります。これは、ローレンツ変換という数学的な操作をすればすぐに分かります。

ですが、そもそもローレンツ変換がどういう前提から出てきたかというと、それは光の速度が一定だという原理からです。この原理から考え始めて、アインシュタインが好きだった思考実験をすれば、長さが縮む事、時間が遅れる事は分かるんですね。

もちろん、数式を使わないと、どれくらい長さが縮んで、どれくらい時間が遅れるのか、というのは分かりません。でも、実験をやって検証するわけでもないのなら、大まかな事情が分かればいいわけです。定量的ではなく、定性的な理解ができればいいと言うことです。


ただ、いくらか数学の知識がないと、ちゃんとした理解は出来ないだろうな、と思うものもあります。

量子力学で、物理系の状態がベクトルで表されて、2つの状態を足し合わせたり出来る事などは、ベクトルに付いて深い理解がないと、本当の意味が分からないものだと思います。シュレディンガーの猫は、2つの状態を重ね合わせた状態が、いかに人間の直感に反しているのかを示す思考実験です。


思考実験をすれば分かるはずの概念と、ちゃんと数式で理解できないと本当の理解が出来ない概念、と2つに分類できるわけではなくて、大体のものは中間に入ります。

座標変換について説明していると、あぁ、数学をやっていない人はこういう考え方をしないんだな、と毎度思わされます。言葉で説明は出来るんですが、どうも伝わりきらないんです。

エントロピーなどは、数式無しで、それなりに説明できたんじゃないかと思っていますが、どうでしょう?(リンク。伝わらない部分があったらコメントお願いします)でも熱力学の第2法則がどれだけ強力なものなのかは、数学、特に組合せ論が分かって初めて分かるものだと思います。


今は言葉だけで説明できないものでも、絶対に出来ない、とは言えないわけで。数式では捉えている、という人が、言葉で伝えられるよう努力するのは大事な事です。数学的に記号を動かしまわしたら公式が出てきた、というだけでは、物理の概念を理解したとは言えないからです。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

ホーメイ

ちょっとお酒が入っているんで、物理と数学の話は明日(笑)

今回は昨日の話。

ホーメイのコンサートに行ってきました。モンゴルの隣、ロシア連邦トゥヴァ共和国から来た、チルギルチンという4人組です。シアトルでも聴いたんですけどね、これは何度聴いてもいいです。


↑カメラが全然注目するべきところに注目できてない(笑)

↓こんなきれいな音楽はなかなかないですね。


かと思えば、おふざけとしか思えないこんなビデオも(笑)


最後のに出てくる女性歌手は、3年位前にグループに加わったみたいで、自分が生で見た時には2回ともいました。ヤギの鳴き声も彼女です(笑)


ちょっと音質が悪いんですが、イゴールさんのソロ。6つのホーメイのスタイルをマスターしているとか。6つもあるのか、と言うのが驚きですけどね(笑)でも生で聴いていると確かに何種類か使い分けているのがわかるんです。

テーマ : LIVE
ジャンル : 音楽

物理と数学

昨日発せられた、うちの彼女の素朴な疑問。(もう1つあったんですが、これはまたの機会に)

数学が出来ないと、物理は出来ないのか?

結構深い疑問です。


まず最初に、物理学者になる、物理の研究をする人について。

この場合、ある程度数学が出来ることは必要不可欠です。


物理と数学の歴史を見ると、物理の問題がきっかけとなって、数学に進展があった、と言うケースがいくつかあります。

一番メジャーなところで言うと、ニュートンの微積分。

物体の、時間ごとの位置が分かっている場合、その速度はいくらなのか(微分)。時間ごとの速度が分かっている場合、その位置はどこなのか(積分)。力学の問題で必要になったから、数学の道具を編み出した、と言うわけです。


逆に、数学者が、数学的に面白いな、と思って勝手に考え出したものが、物理学で役に立ったりもします。

これの例は群論。これは、元はと言えば、方程式に解があるのかどうかを判断するために考え出された数学の分野でした。それが発展するにつれて、対称性を表すために有用な道具だと分かったんですね。

物理学に群論が使われるようになったのは、20世紀に入ってから。現代物理では、物理法則にどういった対称性があるのか、というのは最重要と言っていいトピックで、特に理論物理をやろうとするなら、ある程度の知識が必要になります。


なんにしろ、理論物理学の研究をするには、数学的な素養が必要となるのは間違いありません。

実験屋さんの場合は、群論などの高等数学の知識は恐らくあまり必要ないでしょう。実験をする人にとって重要なのは多分、大まかな計算が出来る能力。どういった実験に見込みがあるのか、どういった結果が期待出来るのかを考えていないといけませんから。(数学の力というよりは、数字の力、ですね)


というわけで、物理で大学院に入るような人は、全員と言っていいほど数学はそれなりに出来ます。


じゃあ、そもそもなんで物理に数学が使われるかと言うと、1つの理由としては、物理学の実験では不確定要素が少なく、現象を再現しやすいんですね。

エネルギーは何をどうやっても保存されるし、地球の重力の強さは地球の中心からの距離に反比例する。物理学で法則があるとなると、適用範囲の中では100%成立するといって良いようなものなんです。という事は、出来るだけ厳密に、体系的に理論を組み立てたい。そのためには数学が一番有用な道具になるわけです。


これが例えば生物学だったりすると、不確定要素が多く、厳密に守られる法則というのはほとんどありません。人間と一言で言っても1人1人には大きな差があって、同じ実験をしても全然違う反応をしたりします。つまりこれは、生物学を数学で記述しようとしても、ほとんど出来ない、という事。


言い換えると、物理学に数学が使われるのは、物理学が簡単だから。これは冗談じゃなく、本気です。

物理学者の研究対象と言うのは、原子1個だとか、2個だとか、単純なものがほとんどなんです。沢山の要素を含んでいるものを研究する時も、単純な構造を持った結晶や、分子の間に力が働かない気体など、数学的に扱い易いものなんですね。

生物学の例で続けると、生き物を構成している原子の数を数えると20何桁もある数字になります。これを厳密に数学で記述する、と言うのは無謀な試みになるわけです。

物理学者が数学を使うのは、数学が使えるから、なんです。


じゃあ、研究するわけではなく、ただ知識として物理を知りたい、という人の場合はどうなんでしょう?

これは次回に続く…

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

軽さ

タイトル通り軽い話です...多分。


囲碁用語に、石の重さ、軽さ、というのがあります。

重い石、と言うのは、取られると大きなダメージを受けてしまうので、取られないように頑張らないといけない石。

軽い石、と言うのは、取られても大きな損はなく、捨ててもいい石。


強い人の対局を見ると、この局面は放っておいて良いのかな、と自分のような弱い人が思うような場所を無視して、他の場所に手を打つ事が多々あります。シロート目に見ると取られそうな石を、放っておいたりするんですね。

でもこれは、取られても損をしない石、軽い石があると言う事。強い人は、相手がその石を取ろうとするとどういう事になるのかをちゃんと読み切って、あぁ、大した事無いな、と判断して他の局面に向かっているわけ。隙があるようで、無い打ち方なわけです。

出来る事ならば、軽い石を打てるようになりたいわけですが、この判断が出来るようになるまでが難しいんですね。


この石の軽さについて考えていて、これは良い音楽にも通じるところがあるな、と思いました。

隙があるようで、実は無い。力を抜いているように見えて、実は全然抜いてない。こんな感じです。



フェラ・クティと共にアフロビートというジャンルを作り上げたドラマー、トニー・アレン、69歳です。


囲碁と音楽に限らず、人間としてこういうのが理想じゃないでしょうか。大げさですが(笑)

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

time sensitive

月曜から新しい研究テーマに取り組んでます。うちの教授がずっと暖めてたアイディアなんですが、他にも同じようなアプローチで研究を進めている人がいるので、出来るだけ早めに結果を出したいんだとか。

で、その似た研究をしている人って言うのが、転校前の大学の教授なんですねぇ(笑)つまりうちの教授にとっては元同僚で、自分も授業を受けた事があります。

その教授と競争。ちょっと変な気分です。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

NCAAトーナメント

メンフィスが出ていないんで、ほとんど見ていなかったんですが、決勝はさすがに見ました。

名門デュークと、地元インディアナポリスのバトラーの対決。

バスケの番狂わせといえば、映画Hoosiers(勝利への旅立ち)のモデルになった、インディアナのミラン高校。

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バトラーのホームアリーナは、ミラン高校が1954年に州大会で優勝したときの会場なんですね。というわけで、バトラーがまさかの優勝、という筋書きがちゃんと出来てたわけです。


という風に期待されてる決勝戦は得てしてつまらなくなるもんですが、今年の決勝は点差が一度も7以上にならないクロースゲームでした。最終スコアは61-59でデューク。

バトラーのベストプレイヤー、ヘイワードが、決まれば逆転というシュートを2つ外して終わり。最後のハーフコートショットは、決まってたらトーナメント史上最高のプレーだったでしょうね…

テーマ : バスケットボール
ジャンル : スポーツ

分野

最近、言語学専攻の人とよく会います。昨日は、その会った中の1人がやっている言語学の実験に付き合って、報酬としてビールをおごってもらったんですが(笑)分野ごとに色々悩みが違うんですよね、やっぱり。


初対面の人に専攻が何か聞かれて、物理学と答えた時。一番困るリアクションは、いかにも嫌そうな顔をされる場合(笑)最初からダメ、ってなると話の進めようがないですからねぇ。

...いや、これは困るというか、残念なリアクションか。他の話をすれば良いわけで、困る事はないです。

困るのは、「頭良いんだね~」というようなリアクション。これって、どう答えればいいんでしょうかね。軽く受け流すしかないのかな。無理してジョークにすると、嫌味っぽくなりかねないし...


「専攻はなに?」「言語学」といった場合には、ほぼ確実に「何ヶ国語話せるの?」と返ってくるらしいです。(少なくともアメリカでは)

語学、と、言語学、は別なんですよね。言語学は、文法や、言語に使われる音の構造、言語を使う脳の機能だとかを研究する学問。

もちろん、言語学を勉強するに当たって、色んな言語を知っている事は損にはなりません。でも、母国語だけしか話せない言語学者もいるようです。言語学の中の大体の分野では、流暢に多ヶ国語を使いこなせる必要はないとの事。


他にもこういう話は聞きますね。経済学者だというと、株価の話を振られたり(これは本当にあるのかな?)。数学者も大変そうです。


大変は大変なんですが、こういう時のために、自分のやっている事を簡潔にまとめて説明できるようにしておくのは、いい事です。僕の場合だと、すでに似たような研究をしている人、同じ物理学でも違う分野の人、その他サイエンス系の人、予備知識のほとんどない人、の4種類の相手に対して別々の説明を用意しておくべきかな、と。

今後一緒に働くかもしれない人や、自分の研究を応用してくれるかもしれない人に対してちゃんと説明出来るのが良い事なのは間違いないです。逆に、予備知識の薄い人に対してちゃんと説明するためには、自分の研究がなぜ重要なのか、面白いのか、というのを出来るだけ専門用語を使わないで伝えられないといけません。これは、研究の背景にある根本的なアイディアをちゃんと理解できていないと出来ないはずなんですね。自分の研究を理解するための手助けになるわけです。

大学院にいると、研究者ばっかりと話してるんですが、研究職ではない人が、なにをしているのか聞かれて、どういう風に答えるのか、というのにもちょっと興味があります。

テーマ : 思うこと
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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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