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身長

時間の矢の続きを考えてるんですが、上手い説明がなかなか難しいです。時間を逆回しにしてみる例に、何を使おうかな、と。ネタバレになるかもしれませんけど、ここまでで考えてみたのは、割れる生卵、爆発、溶ける氷、混ざる液体/気体。どれが良いかな…

とまだ迷ってるんで久々にスポーツネタ。

一昨日は、メンフィス・グリズリーズの試合を観てきました。相手はワシントン・ウィザーズ。


バスケファンならとっくのとうに知ってるはずのことですが、バスケットボールのチーム5人は、普通5つの別々のポジションに配置されて、役割分担がそれなりに決まっています。

大雑把に言って、主にプレーする範囲がゴールから遠い方から、
1.ポイントガード(PG)
2.シューティングガード(SG)
3.スモールフォワード(SF)
4.パワーフォワード(PF)
5.センター(C)
の5つで、一般的に、ガードにはドリブル、パス、ジャンプシュートの能力、フォワードとセンターにはリバウンドを取ったり、コンタクトを受けてもシュートを決めるための体格の良さが求められます。

で、NBAでは、それぞれのポジションの大体の身長が決まっているんですね。
PGは6フィート1~4インチ(185~193cm)
SGは6フィート4~7インチ(193~201cm)
SFは6フィート6~9インチ(198~206cm)
PFは6フィート9インチ~7フィート(206cm~213cm)
Cは6フィート10インチ以上(208cm~)

大抵の場合、同じポジションの選手を1対1で守ることになるので、身長が大幅に違うとミスマッチとなって、有力な攻め手の1つになります。相手より身長が高い場合は、相手に邪魔されず頭上を超えるシュートが打ちやすくなりますし、相手より背が低い場合、普通敏捷性で優っているのでドリブルで抜き去りやすくなります。

ただ、ボールを上に投げないと点が取れないというゲームの特徴から、身長が低い場合のデメリットは大きいので、ポジション平均より背が低い選手は、なにか特殊な技能を持っていないとやっていけません。

そんな選手が、一昨日は2人見られました。グリズリーズのPFザック・ランドルフと、ウィザーズの控えPGアール・ボイキンス。


ボイキンスは、例外中の例外と言っても良い選手です。身長は5フィート5インチ(165cm)。アメリカ人男性の平均より10cmほど低いんです。他の選手に囲まれてコートにいると、子供にしか見えません。

彼がリーグで10年以上プレー出来ているのは、高速ドリブルでチャンスを作り出す能力のためです。守備では弱点になる背の低さですが、俊敏な動きが出来て、しかもドリブルする手が低く保てるとなると、攻撃では強みになります。

それでも相手とは30cm以上も身長があるわけで、シュートすれば常にブロックされる危険があります。ブロックされないための技術には、相当の試行錯誤と練習が必要だったんじゃないでしょうか。


ザック・ランドルフの方が実は、個人的には興味深いケースです。

彼の場合は、6フィート9インチのPF。ボイキンスほど極端に低いわけではないですが、面白いのは、ザックは決して、背が低いために敏捷だとも言えないんです。持ち味は、リバウンドとゴール下での得点力。

横に大きい体で(普通に太ってた事もありますが今はそうでもない)、それが相手の選手をブロックアウトするために役立っているのはあります。

でもそれ以上に、外れたシュートがいつどこに落ちるのか、他の選手より正確に読めているんですね。だからリバウンドが落ちる場所に、なぜかいつもザックがいる。そして、ちょうどボールがジャンプの頂点で取れるように飛んでいる。

ザックより背の高い周りの選手より、数cmだけの差で毎回ボールに手が届くのを見ると、とても不思議です。

こういう選手は、他にもいますね。昔の選手で言うと、チャールズ・バークリーは、ランドルフよりさらに背が低いPFでしたが、リバウンドの能力はリーグ屈指でした。


で、実際のところ、ザック・ランドルフの優れている能力はなんなのか、が気になるんです。

視力や立体的に状況を把握する能力が優れていて、他の人よりシュートの軌道が良く分かっているという事なのか。

シュートの軌道の把握能力は他の人と一緒でも、そこからどう跳ねるかを予測するのが上手いのか。

どこに跳ねるのかは他の人と同じくらいしか分かっていないけれど、跳ねた後に相手より良いポジションを取れるのか。

どれなのかどうも分からないんですね。どれが正しいのか確かめるために実験してみたい(笑)


確実なのは、ジャンプのタイミングを測るのは上手い、という事。

ボールが跳ね上がった直後のボールの運動を見極める動体視力と、その後の軌道を予測して、瞬間的にいつ飛べばいいのか判断する無意識の計算力が優れているんでしょう。


そもそも他の人とザックの体の間にあるどういう違いから、この違いが出てくるのかも疑問。

他の選手も、数万回、シュートが外れて跳ね出るのを見てるんですね。ザックの方が、リバウンドの軌道を読む能力が優れているとしたら、それはその能力を得るために費やした練習量が多いためなのか、それとも元々ザックにリバウンダーに適した資質があったのか。

練習だとしたら、どういう練習が効果的だったのか。資質だとしたら、それは実際のところどういう資質なのか。知能と学習に関して考えることが最近多いもので、さらに気になるんですね。


最後に言うことじゃないですが、グリズリーズは最近好調です。1勝8敗のスタートから、今は15勝16敗にまで戻しました。

若手4人にベテランのザック・ランドルフを加えたスタメン5人が、かなりハイレベルなバスケをしてます。ザックには、素行に問題があるという評判がありましたが、今のところ問題ないですし、振り返ってみると本当に彼に問題があったのか疑わしいところがあります。

むしろ、メンフィスでは色々と騒動を起こしただけだったアイバーソンと契約しなければ、1勝8敗というスタートも無かったかも、と思われますね…でもプレーオフの望みもまだあります。
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テーマ : NBA
ジャンル : スポーツ

オッカムの剃刀

Calvin and Hobbesって4コマ漫画があります。というか、ありました。

小学生Calvinと、トラのぬいぐるみのHobbesが主人公。Calvinが、親、学校、社会一般の常識に無邪気に反抗する日々を描いた漫画です。和やかな絵柄とは裏腹に、やけに鋭い社会風刺をしてるんですね。コメディーとしても面白いのはもちろんですよ。

と言うわけでオススメなんですが、この話をしてるのは、1つ紹介したい回があるから。

4コマより長い、日曜版です↓

Calvin and Hobbes

昔の写真がなんで白黒なのか不思議に思ったCalvin、お父さんに聞きに行きます。

Calvin「おとうさん、なんで昔の写真は白黒なの?カラーフィルムはあったんでしょ?」
Dad「そりゃああったよ。実はね、古い写真はカラーなんだよ。でも、世界が白黒だったんだ」
Calvin「ホントに?」
Dad「本当さ。世界は1930年代くらいまでカラーにならなかったんだ。しかも最初の頃は、色が粗かったんだよ」
Calvin「それってすごい不思議」
Dad「事実は小説より奇なりというからね」
Calvin「でも、なんで昔の絵はカラーなの?世界が白黒だったら、画家もそういう風に描いたんじゃないの?」
Dad「そうとも限らないさ。偉大な画家の多くは、狂っていたからね」
Calvin「でも、でも、なんでカラーで描けたの?絵の具も灰色だったんでしょ?」
Dad「そうだよ。1930年代に、絵の具もカラーになったんだ」
Calvin「じゃあなんで、白黒の写真はカラーにならなかったの?」
Dad「白黒の世界をカラーで撮ったからだよ」


Calvinが不思議に思った事、説明して欲しかった事は、
1.今の写真はカラー
2.昔の写真は白黒
3.今の絵はカラー
4.昔の絵はカラー

もちろん、正しい説明は、昔の写真は白黒しか撮れないフィルムだった、で、お父さんの説明はデタラメです。でも、論理的には間違ってません。昔のフィルムが白黒だった、という証拠があるのでもなければ、絶対に間違ってると言う証明はできないんですね。


判明している事実を説明するために、いくつかの説がある、っていうのは科学の世界や法廷ではよくある事。こういう時にどうすればいいのか。

タイトルでピンときた人はもう分かっていると思います。複数の説がある場合には、より簡潔なものを選ぶべき、というオッカムの剃刀、という指針があるんです。

なぜ「剃刀」かというと、必要の無いものは切り落とすべき、という事です。オッカムのウィリアムという人が書いたので、こういう名前が付いたんですね。


Calvin and Hobbesの、昔の写真に付いて説明するには、
1.1930年代頃にカラーフィルムが発明され、普及しだした
2.カラーフィルムの質は最初の頃はあまり良くなかった
という2つの要素だけで足ります。

一方、Calvinのお父さんの説明には、
1.世界は1930年代まで白黒で、そのあとカラーになった
2.さらに、カラーになったあと少しの間は、色が粗いままだった
3.昔の画家は、白黒の世界がカラーに見えていた
と、3つの主張が入ってます。しかも3つとも、なんで?とさらに聞きたくなるような話です。

このことから、1つ目の説明のほうが、正しい可能性が高いと思われるわけです。


オッカムの剃刀は当然、絶対的な基準ではありません。込み入った説明のほうが正しいこともあります。

でも、自分の説がどういう前提の上に成り立ってるのか考えるのは大事です。例えば、陰謀論と言われるもののほとんどは、気をつけて考えれば、おかしな前提がある事に気がつくものです。

秘密の何かがあったとして、その秘密をどれだけの人が知っているのか。そして秘密を知っている人それぞれに、秘密を隠す理由はあるのか。つまり、隠す事で、秘密を明かした場合より得をしているのか。世の中にある色んな陰謀論についてこう考えて行くと、実はそんな秘密など無いんじゃないか、と思えるものがほとんどのはずです。



ところで、うちのブログで書いている色んな事は実は、結構少ない数のテーマで繋がってます。自分の頭の中にある密接な繋がりを、どうやって他の人にも伝わる言葉で説明出来るかな、と言うのが1つの課題です。

で、オッカムの剃刀の話は、エントロピーと大いに関係があったりするんですねぇ。今回はもう長くなりかけてるんで、また後で。

テーマ : 哲学/倫理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

エントロピー

ここ1週間色々とバタバタして、考えがまとまりませんでした。

時間の矢の話の続き。熱力学第二法則の説明です。


熱力学の第二法則については、一度このブログでも書いた事があります。これを読んでもらえると、感覚的にはちょっと分かるかな、と思いますが、もう少しきちんと説明してみようと思います。


熱力学の第二法則の別名(というか1つの表現法)は、エントロピー増大則、です。これはその名の通り、時間が経つとエントロピーは増える、という法則なんですが、そのエントロピーってなに?って話が鍵になります。


この法則の説明として一番良く使われるのは、エントロピーは乱雑さの事で、放っておくと部屋は散らかってしまう事から分かる、という例。

これ、例えとしては、間違ってはいないと思うんです。でも、なぜ第二法則が成立するのか、というエッセンスが抜けているので、実際のところ説明にはなっていません。エントロピーとはなんなのか、そしてなぜ増えるのか、を理解するには、もう少し視野を狭くして、余計な要素を省かないといけないように思います。


というわけで考えてみたいのは、部屋全体じゃなくて、本棚の本

あなたは、年末の大掃除で本棚を整理する事にしました。小説、科学、社会などとジャンル別に分けて、さらにジャンル内で著者の名前順に本を並べ直したんです。

毎週1回、あなたの家には友達が遊びに来て、本を1冊借りていきます。次の週になると返してくれるのですが、本棚に適当に戻しておいて、と言ったところ、テキトーに戻していくんです(笑)毎週、1つランダムに本が本棚から抜かれて、次の週にランダムな場所に入れ直されているわけです。

あなたは、友達はちゃんと順列通りに戻してくれていると思っていたので、整理しなおす事もありませんでした。そして来年の年末になって本棚を見てみるとビックリ。順列が見事に乱れていたんです。


これが、エントロピー増大の法則、です。

エントロピーは、乱雑さと言っても良いんですが、これは、見た目の乱雑さを連想させちゃってよくないと思うんですね。僕がエントロピーに対応する日常の言葉として使いたいのは、「ありきたりさ」、「月並みさ」、です。


最初の、ジャンル別、著者名順に並んだ順番は、とてもしっかりと構造を持った順列で、1つでも間違っていると、その構造が壊れてしまいます。デタラメに並び替えたときに、こういった順番になる可能性はゼロではありません。でも、とても確率が低いのは分かると思います。

話の途中でもう1つ例を挙げると、トランプです。本棚の本がしっかりと順番に並んでいるのは、トランプの並び順がスート(絵柄)別、数字順に並んでいるようなもの。シャッフルした後でこれが出たら、ビックリしますよね?この順列は、ありきたりでは無く、とても珍しい、つまりエントロピーが低いものなんです。


1年経った後の本棚では、元々あったはずの構造が崩されてしまっています。ジャンル別、著者名順だった事はもう分からないかもしれません。ちゃんとシャッフルされたトランプのよう、最初からデタラメに並べたのとあまり区別が付かないわけです。これは、ありきたりで、エントロピーが高い配置。

エントロピーが増えるというのは、元々構造を持っていた配置から始めても、時間が経つにつれてありきたりな配置に変わっていってしまう、という事です。

エントロピーなんて見慣れない言葉が出てくるから、専門家しか分からないような事を言ってるんじゃないか、と思わされている人も多い気がするので、あえて言います。エントロピー増大則はある意味、なんだそれだけの事か、という話です。もちろん、もうちょっと厳密に用語を定義しないと、科学的には意味がありませんが。


第二法則で大事なことの1つは、これが実は確率的な法則だという事です。本が5冊しか無かったら、たまたま著者名順になる可能性もあります。でも本が100冊、1000冊と増えると、そういった事は絶対に起きないと言っていいくらい、確率が低くなるんですね。

人間の目に見える物体は、大量の原子で出来ています。大量と言うのは、最後に23個ゼロが付くような数です。それだけの数の本があれば、ランダムに並び替えた順番が、ジャンル別、著者名順になる可能性は限りなく小さいです。つまり、巨視的な物体に関して言えば、第二法則が確率的と言っても、破られることは実質上無いんです。


この第二法則と、時間の矢の関係に付いて次回。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

アイディア色々

まずは時間の矢の話の続きですが、他にはこんなのを考えてます↓

1.地球温暖化
スキャンダルになってますが、なんでしょう、外野の人達がやっている話が本当に極端なんですよね。
研究者の行動に問題があった=結果は間違っている
とは必ずしも言えません。もちろん間違っている場合もありますが。

科学に政治が絡むと面倒な事になる、と言うのは間違いないです。個人それぞれのイデオロギー、先入観で結論がすでに決まっていて、都合のいい証拠だけを取り出して持論を主張している人達がいます。

勉強不足なので、これは少し調べないと書けません。

2.ダークマター(暗黒物質)
物理学者の間で、発見の噂が出回っています。本当ならノーベルものの大発見ですが、恐らく、まだ明らかな結果ではなく、もしかすると、というデータが出たのだと思われます。これが多分一番書きやすいです。

3.民主原理主義関連
まだ、続きのアイディアが無い事はないです。上手くまとまるかどうかが問題。

テーマ : ブログ
ジャンル : ブログ

時間の矢

普通に生活していて、時間が前にしか進まない、というのは常識です。

昨日の事は思い出せるけれど、明日のことは思い出せない。

昨日のことは変えられないけれど、明日のことは今からでも変えられる。

原因と結果があれば、まず原因があって、それから結果がある。

こういうふうに、過去と未来は非対称なんです。


しかし、です。物理法則のどこから、この非対称性が出てくるのか、と調べて行くと、そんな非対称性は見当たらないんです。

一番簡単な例で、2つの天体が、重力で引き合って、お互いの周りを楕円軌道で回っているとします。これをビデオに撮って、逆回しにしてみると…2つの天体が、重力で引き合って、お互いの周りを楕円軌道で回っているビデオになります。

逆向きに回っていますが、その事が物理法則を破る事にはなりません。

これは重力に限った話ですが、電磁力など、他の力を含めても、2つの物体ではなく、何十、何百、とどんどん増やして行ったとしても、時間を逆回しにしても物理法則が成り立っている事は変わりません。観測している全ての物体の位置と速度を測って(注)、同じ位置から、それぞれの物体を逆向きに同じ速さで動かしはじめると、逆回しのビデオのように、以前の状態を辿っていくんです。


ここで、ちょっと待って、と言いたいんじゃないでしょうか?

普通のビデオを逆回しにすると、これは逆回しのビデオだ、というのは一目で分かるじゃないか、と思いませんでしたか?(思ってなかった人へ:人の言う事を鵜呑みにしちゃいけませんよ、笑)

例えば、生卵が床に落ちて割れる映像。殻が、いくつものかけらに割れて、卵の中身が四方に流れていきます。

逆回しにした映像はと言うと、卵の中身がじゅるじゅると集まっていき、殻の中に入っていきます。そして、殻のかけらが魔法のように、ひとりでに繋ぎ合わさって1つの殻になります。

さすがに、ここでただ、逆回しにした映像も物理法則に逆らっているわけじゃないんだよ、と書いても、信じてもらえないでしょうねぇ。もし信じてたら、それは僕の事を盲信してるんだと思うので、やめて下さい(笑)


なぜ、時間の流れを反対にしたビデオがおかしく見えるのかを物理的に説明するためには、熱力学の第二法則が必要になります。エントロピー増大則とも言われる法則ですね。

時間の流れを逆にして成立しなくなる物理法則は、これだけと言っていいのですが、この法則が破られても問題ない、とも言えるんです。第二法則が何なのかの説明と、破られても良い理由は次回…(一度に書けるかな?)


(注):古典力学では、全ての物体には位置と速度があると仮定されているので、これは原理的には可能です。量子論に入ると、ハイゼンベルクの不確定性原理で言われるように、位置と速度が同時に存在することはありません。ですが、物体を表す波動関数を正確に書き表すことは、原理上可能です。そしてこの波動関数が時間によってどう変化するのか見てみると、時間を逆行させても物理法則が破られていないことが分かります。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

質量?重力?(後半)

(前半でも書きましたが、無重量状態の話から読んできて、頭がこんがらがるかもしれません。こんがらがったら、これだけ頭に残して、他は忘れてください。「宇宙船の中が無重量状態なのは、宇宙船と中の物が、地球の重力で全く同じように引っ張られているから。宇宙に出たら重力が無くなる、なんてことはない。」)

前半を短くまとめます。

質量には、重力のもととしての役割(重力質量)と、物が加速されるのを妨げる役割(慣性質量)があります。この2つの役割を、質量という1つの数値が担っている事を、等価原理と言います。

そして、等価原理が成り立つ事で起こるのは、どんな質量、形、材質を持ったものでも、重力の影響では同じように動く、という事でした。これは、電磁力など、他の力には無い性質です。


これは、話の始まりだった宇宙船での無重量状態に大いに関係がありますね。宇宙船と、その中の人や物は、地球からの重力で同じ軌道を辿っています。同じ軌道を辿っているという事は、宇宙船と中の物の相対的な位置が変わらないという事。だから宇宙船を基準として見ると、中の物はどこにも引っ張られず、ただ浮かんでいるように見えるわけです。

もし、等価原理が成り立たなかったとします。宇宙船より人間の方が強く引っ張られるようだと、宇宙船の中の人間は地球に向かって引っ張られているように感じるでしょうし、逆に宇宙船の方が強く引っ張られるのなら、人間は地球の反対側に引っ張られているように感じる事になったでしょう。


アインシュタインは、こういった状況を、宇宙船が出来るずっと前(1906,7年頃)に想像していました。彼が考えたのは、もしエレベーターに乗っている時、ケーブルが切れたとしたら、中の人はどういう観測をするんだろう、という事でした。これは宇宙船の場合と同じで、乗り物と中の物が一緒に落ちているので、中の人間は重力が無くなったかのような体験をします。

彼はこんな事も考えました。周りに何もない空間に、エレベーターがただ浮かんでいたとします。この場合は、中の人間は、本当の無重力状態を体験しています。それがある時、宇宙人がやってきて、このエレベーターを一定の力で引っ張って加速させ始めたとします。すると、中の人間は、進行方向の反対側に向かって引っ張られているように感じます。(電車など普通の乗り物でも体験出来る事ですね)

これはアインシュタインがどこかに書いた話かどうかは知らないんですが、もう1つ例を挙げると、遠心力があります。円運動をしている物に乗ると、円の外側に向かって引っ張られるように感じます。これは、乗っていない人から見ると、乗っているものが真っ直ぐ進もうとしているだけで、外に向かって力が働いているようには見えません。


こういった思考実験からアインシュタインが思いついたのは、こういう事です。

外の状況が分からなかった場合、加速運動と重力の違いは区別出来ない。加速運動と重力は一緒、というのが、等価原理のもう1つの意味だと気が付いたんです。

この視点から言うと、宇宙船の中は無重力、というのもあながち間違いではないんですね。地球の視点で見たら、宇宙船と中の物が一緒に引っ張られているんだけれども、宇宙船とその中だけに注目して見ると、確かに本当の無重力と違いはないんです。宇宙船の中でどんな実験をしても、本当に重力が無かった場合と同じ結果になるんですから。(外を見たりするのは当然無し。中だけでの実験に限ります。)


面白いかもしれないけれど、こんな事考えて何の役に立つの?と思われるかもしれません。実はこの等価原理、アインシュタインが、ニュートンの理論を塗り替えた重力の理論、一般相対性理論を考え出すキッカケの1つだったんです。(注1)

彼は、重力がかかるとどんなものでも同じように落ちる、という事は、重力というのは、個々の物に働く力というよりも、どんなものにも共通の、時間と空間の性質ではないか、と考えたんですね。そこから行き着いたのが、物質(注2)がある所では時空間が曲がって、その曲がった時空間に沿って物質は動く、という一般相対論なんです。

一般相対論についてのこれ以上詳しい話は、ちょっとここでは難しいですね…質問があればコメント欄でどうぞ。


(注1)一般相対論の位置付けを大雑把にまとめると、ニュートンの万有引力と、光の速度が視点に関わらず一定、という特殊相対論を組み合わせたものです。

(注2)一般相対論では、質量に限らず、あらゆるエネルギーが重力のもとになります。質量が無いはずの光が重力で曲がる、という一般相対論の予想は、光がエネルギーを持っているから起こることです。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

2009年のカレッジフットボール

重力の話の後半は明日書きます。


今年の大学アメフトは、全勝チームが5つも残ってレギュラーシーズンが終わりました。そのうち2チームしかタイトル戦に行けないんですから…プレーオフ導入の声がさらに高まりそうな予感。

それでも一応、文句無しで最強カンファレンスのSECで優勝したアラバマがチャンピオンシップゲームに行くのは納得ですし、もう片方のテキサスも、無敗の5チームの中で実績的に2番手なのは多分正しいです。

TCU、シンシナティ、ボイシー・ステートの3チームは、全勝でもタイトルには挑戦出来ない、という事になりそうです。


チャンピオンシップゲームの組み合わせを決めるBCSと言うシステム、記者投票とコーチの投票によるランキングと、6つのコンピュータランキングが使われるんですが、こういったランキングの使い方があまりにもお粗末なんですよねぇ。1位に25点、2位に24点、…ってどうなんでしょ?ほとんどの場合、1位と10位の差のほうが、明らかに11位と20位の差より大きいんです。(もっと極端な例:世界で一番背の高い人と世界で1億番目に背の高い人の違いは多分50センチ以上。30億番目と31億番目の違いは、数センチ。)

コンピュータランキングの中身を見ると、各チームの差まで数量化されているんですが。まぁ、それらしいランキングを作って当事者が儲けられれば良い、っていうシステムなので、期待するのが間違ってるんでしょう。


過去の試合結果(のみ)から、将来の試合結果を予想するランキング/プログラムを作って、シーズン全試合を予想してラスベガスで賭けたとして、どれくらい儲かるのが限度なのかな、というのが気になります(自分で儲けたいわけじゃなくて、理論上の問題として)。ニューラルネットワークでどれくらい行けるのかな、というのも。

アメフトは試合数が少ないんで、コンピュータでの予想はなかなか難しいんじゃないかと思います。

野球の場合、投手のローテーションを考慮に入れたプログラムじゃないとボロボロでしょうね。

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ジャンル : スポーツ

質量?重力?(前半)

無重力、と言われるのは、地面だと思っているものと一緒に落ちる事であって、重力が無くなってるわけじゃない(だから、無重力じゃなくて無重量と呼ぶべき)、というのを先月書きました。今回は、そもそも重力って何?、そして、質量って何?という話です。

(前回から続けて読むと、こんがらがるかもしれません。宇宙に重力が無いなんて事は無いよ、って言うのが一番大事な事なので、こんがらがったら、この記事は忘れて、前回のだけ覚えておいて下さい、笑)


重力という力を、はじめて数量的に表した物理学の理論は、アイザック・ニュートンの万有引力です。

ニュートンによると、質量を持つもの同士全ては、それぞれの質量に比例して、間の距離に反比例する力で引き合っている、というんですね。式で書くとこうなります。
gravity
Fは力(force)、m_1とm_2が物体1と2の質量(mass)、rが距離(distanceだけどrなのは多分、半径、radiusから)。

質量が無ければ重力は働かなくて、質量があれば絶対に働く。質量が大きければ大きいほど、周りからかかる重力も、周りにかける重力も強い。一言で言うと、質量は、重力のもと、だという事です。


この力によって、物体がどういう動きをするのかというと、これは物理学の授業を受けた人なら絶対に一度は見た事のある、この式から分かります。
F=ma
ニュートンの第2法則というやつです。Fとmはさっきと同じで、力と質量。aは物体の加速度(acceleration)です。

これは、こう書き直した方が意味が分かりやすいと思います。
a=F/m
物体の加速度は、かかっている力を質量で割ったもの。この視点だと、質量と言うのは、物が加速されるのを妨げるもの、です。質量が大きな物ほど、動かし始めたり、速度を変えたり、止めたり、曲げたりするのが大変なんです。荷物をいっぱい積んだ車や自転車を思い浮かべてみると分かると思います。


最初に出て来た式での質量は、重力のもと、という意味で、重力質量、と言い、2つ目の式に出て来た質量は、慣性の大きさを決めるので、慣性質量、と言います。

そして、この2つは同じだ、という主張を、等価原理、と言うんですね。


なんでわざわざ、これを原理にするかというと、力のもとが、慣性質量である必要は全く無いからです。例えば、重力以外の身近な現象ほぼ全てを説明出来る電磁力。この力の強さは、力を及ぼし合う物体の電荷に比例します。(大雑把に言うと)

そして、電磁力のもとが質量ではない事を利用した、質量分析法、というのがあります。

例えば炭素の原子というと、原子核の中に陽子が6つあって、その核の周りに電子が6つある、と言うのは決まっています。でも核の中の中性子の数は、6個だったり7個だったり、まちまちです(注)。これを区別するためには、炭素の原子から電子を1つ取り除いてイオンを作り、磁場の中を同じ速さで移動させるんですね。

どれも、電荷が0の原子から、電子を1個取り除いたので電荷は一緒。どのイオンにも、かかっている力は一緒という事です。でも、中性子の数が違うので、質量は違います。質量が大きいほど加速度が小さくなるので、イオンが描くカーブの曲がり具合が小さくなる。つまり、イオンが通った軌道を見ると、質量の違いが分かる。そして、原子核に何個中性子が入ってるのか分かる、というわけ。(↓英語ですが、なんとなく分かるでしょうか)
mass spectroscopy


重力の場合、こういう実験は出来ません。2倍の質量のものを重力で引っ張ると、重力の強さは確かに2倍になりますが、それと同時に2倍曲げにくくもなるので、加速度は変わりません。つまり軌道は変わらないんです。

質量をどう変えても、形や材質を変えても、全ての物体は同じように落ちるんです。

これについては、ガリレオがやったという実験がありますね。ピサの斜塔から、違う重さの球を同時に落としたところ、重さとは関係なく、同時に地面に落ちた、というものです。実際にはこんな実験はせず、斜面に球を転がしてたようですが。要するに等価原理と言うのは、相当前から知られてはいたようなんです。

でも、この原理が本当に重要なんじゃないか、と真剣に考えて、結論に辿り着いたのはどうやらアインシュタインが最初だったようです。これについては次回...


(注)同じ元素だけれど、中性子の数が違うものを、同位体、と言います。天然にある炭素の同位体の構成を調べると、ほとんどは中性子を6つ持った炭素12で、炭素13が1%ほど混じっています。

中性子を8つ持った炭素14は、大気圏の上の方で宇宙線による反応で作られるので、大気には含まれていますが、時間によって窒素14に変化(ベータ崩壊)します。生き物の中にある炭素は、大気と同じ割合で炭素14が入っているけれど、死んだとたんに炭素14は減りだすという事なので、木材などの炭素14の割合を調べると、いつ死んだのかが分かります。これが、炭素年代測定。そして炭素14の量を計測する一番精密な方法が、上に書いた質量分析法です。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

予告編:時間の矢

時間はなぜ前にしか進まないのか。

謎です。

物理学的にどんな事が分かっていて、どんな事が不思議なのか、あとで書きますね。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

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