スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

原子核発見100周年

先週、強盗に遭ってしまいまして、大変なんですが、それに付いてはまたあとで。

5月のうちに書かないと、という話なのでこちらを優先します。というか、強盗の件は、どうまとめれば良いのかまだ見当が付かないので…


なんで全然話題にならなかったんだろう、という話で、今月は、原子核発見の100周年でした。

1911年5月は、論文が発表された月で、学会での発表は3月だった、というのは理由かもしれません。でも、3月にもそういう話は無かったですよね…


とにかく、1911年5月に、ニュージーランド生まれの物理学者アーネスト・ラザフォードが、原子には、とても小さい核が存在するのでは、と考える事で、ある実験の結果を説明しました。どんな実験だったのか、という本題に入る前に、このラザフォードの発見以前に、原子がどのようなものと考えられていたのか、まずまとめます。


モノをどんどん分割していくと、これ以上分割できないモノに行き着く、という原子論が受け入れられるようになったのは、18、19世紀の化学の発展によってでした。その原子にも、さらに細かい部品があるらしい、と言うのが分かったのが19世紀の末です。ガスに電圧をかけると、飛び出してくるモノがある事が分かったんですね。

cathode ray

これが電子。発見したのはイギリスのJ.J.トムソンでした。

トムソンは、磁場によって電子が曲がるのを観察して、電子が負の電荷を持っている事、そして、原子全体の質量と比べて、電子は1000分の1の質量もない、という発見をしました。(注1)


原子全体には電荷が無いので、負の電荷を持つ電子と、正の電荷を持つなにかが一緒になって、原子を作っているはずです。そこでトムソンは、正の電荷を持った球体の中に、小さな電子が散りばめられてるんじゃないか、と言ったんですね。

これが、プラムプディングモデル、と呼ばれる説です。原子は、プラムの果実が散りばめられてるお菓子のようなものなんじゃないか、という事です。

plum pudding

電子が、原子全体と比べてとても軽い事が分かったので、場所を取っているのは正の電荷の方だろう、というのはごく自然な仮説でした。


このプラムプディングモデルの発表が1904年。これでは説明できない実験が現れるまでには、5年しかかかりませんでした。

当時は、ラジウムなどから発される放射線が発見されたばかりで、放射線とは何か、という研究が盛んに行われていました。キュリー夫人など有名ですね。ラザフォードも、放射線の研究で名を上げた学者で、放射線を出した原子が、別の元素になる事がある、と言う発見で1908年にノーベル化学賞を受賞していました。α線、β線、γ線の名付け親も彼。

プラムプディングモデルを覆したのは、この放射線の研究の一環で、α線を、物質にぶつけると、どういう事が起きるのか、という実験でした。


プラムプディングから予測されるのは、下の図。
plum pudding prediction

原子の正の電荷(ピンクの部分)には広がりがあるので、α線に大きな力を加える事はありません。α線も正の電荷を持っているので、他の正の電荷からは反発されるのですが、上にあるものには下に向かって押され、下にあるものには上に向かって押される、と言うように力が打ち消されてしまうからです。

さらにα線は、電子よりずっと重い、という事が知られていました。そこから予測できるのは、電子(水色)の近くを通っても、あまり曲げられる事はない、という事。つまり、プラムプディングの原子に、α線が大きく曲げられる事はない、という事です。


実際に実験をしたのは、ラザフォードの助手だったハンス・ガイガー(注2)と、学部生のアーネスト・マースデン。α線を金箔に当てて、その周りに、α線が当たると光るスクリーンを置いて、それを顕微鏡で眺めて光る回数を数える、という、すごい地味な実験です。観察する際には、まず暗闇に20分ほど入って目を慣らさないといけなかったとか。だから学部生を使ったのか、と思ってしまいますが…

その実験ではなんと、α線が金箔の手前に跳ね返される、という現象が見つかったんです。α線、2万本につき1回、という珍しさですが、大量のα線を使っていたので、十分に観測できる数でした。

ラザフォードは、ノーベル賞をすでに受賞していて、この後にも大発見にいくつか関わったのですが、この結果を聞いたときほど驚いた事は無かったと語っています。彼はこの実験を、「砲丸をティッシュペーパーに向かって打ち込んだら、跳ね返されて戻ってきたよう」、と表現しました。


こんな事が起きる理由は、原子の中の正の電荷は、大きく広がっているのではなく、小さな核に固まっている、と考えれば分かります。

nucleus prediction

大きな電荷と質量が小さな容量に固まった原子核があるとします。そんな原子核とα線が正面衝突すれば、α線が真後ろにはじき返される、というわけです。


というのが、主流のストーリーなんですが、実は、原子核説を唱えていた人はラザフォード以前にもいました。少なくともフランスのジャン・ペランと日本の長岡半太郎の2人。太陽系からの類推で、真ん中に核があって、その周りを電子が回っているんじゃないか、という発想だったのですが、実験からの証拠は得られず、2人ともガイガーとマースデンの実験以前に、この説を突き詰める事は諦めていたようです。

長岡の1904年の論文は、イギリスのPhilosophical Magazineという学術誌に載ったので、ラザフォードにも読まれていました。100年前のラザフォードの論文にも引用されています。


以上、ですが、あとでちょっと参考文献など書き足しますね。

(注1)ちなみに、ブラウン管のテレビは、電子を磁場で曲げる事で、画面のどこを照らすかコントロールしています。

(注2)ガイガーカウンターのガイガー。「助手」と書きましたが、実際の肩書きが何だったのかはすぐには分かりませんでした。
スポンサーサイト

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

放射線・放射能の基礎

(まず広報:はてなダイアリー始めました。今のところ、放射線関係の、ちょっと専門的な話しかありません。こっちのブログは、ゆるめの話専用で使い続けようと思います。ゆるめ、と言っても、僕の場合は学術的過ぎない話、と言う意味…いや、読者の方なら分かりますよね。)


原発からだけでなく、食品や水道水の検査結果など、不安なニュースが続き、大丈夫なんだろうか、と、とにかく心配な方も多いと思います。自分は大丈夫でも、周りに、パニック状態になっている人がいる、という場合もあるでしょう。

いずれにしても、正しい情報を得て、それを元に判断する、というのがとても大事だと思います。放射線の、ほの字も分からない、というような人のため、または、そういう人に説明したい人のための記事を書こうと思います。上手く出来るかどうかは疑問…

基本の基本は分かっている、という人のためには、他にリソースが沢山あります。多分、一番のお勧めは、放射線医学総合研究所。電話のホットラインもあるようです。Twitterでは、測定データ等は早野教授。医療関係は、チーム中川(チーム中川は、主にブログで発信することになったようです。)。


僕は日頃から、科学には、用語を言っただけで恐がられる、3つのモノがあると言ってます。生物学では「微生物」、化学では「化学物質」(笑)、物理学では「放射線」。どれも、危険なものもあるのは確かなんですが、人間が生きて行くために必要不可欠なものもあります。大事なのは、しっかりとした知識を持つことです。

この3つに(大体)共通するのは、目に見えない事。見えない恐怖、と言うのは、人間の心理深くにあるんでしょう。まずは、放射線と、放射能物質のイメージから始めようと思います。


放射線は、とても大雑把に言うと、さえぎられなければ真っ直ぐ進むとても小さい粒子、です。そういう粒子を、ひとりでに吐き出すものがあって、これが、放射性物質。(注1)

放射性物質を作り上げている原子も、有害な放射線も、肉眼では見えませんが、もし、目に見えたとすると、どうなるでしょうか?物理学者の、前野教授が、こんなページを作ってくれました。

このページで分かるのは、まず、1つ1つの原子核は、1回ずつしか放射線を出さない事。これは、放射線を出すと、別の物質に変わるからです(注2)。時間が経つに連れて、放射性物質の量は減っていって、同じ塊から出てくる放射線の量も、減って行きます。よく出てくる、半減期、と言うのは、元々あった放射性物質が、半分の量になる時間です。


次に、なんで放射線が危険になる事があるのか。

それは、素早く動いている粒子が、体の中にある物質に当たると、当たった分子を分解してしまう事があるからです。

もし、一度に大量に放射線を浴びた場合、大量の分子が分解され、細胞がいつも通りに働かなくなってしまいます。これが、原爆などで、大量の放射線にさらされた人の症状の元です。被曝の「確定的影響」、というのはこれです。今回の原発事故では、一般市民にこういった事が起きる可能性は、まず無いです。原発の作業員の方でも、しっかりと管理がされていれば起こりません。(残念ながら、起こってしまったようですが…)

今回、一般人が心配しないといけないのは、「確率的影響」と言われる物です。放射線が、DNAに当たった場合、突然変異が起こる事があります。この突然変異のために、普段なら、増殖しすぎないような仕組みが働いている細胞が、一気に増殖してしまう場合があります。これが、癌。つまり、放射線を浴びると、癌になる可能性が高くなる、という事です。

1つ良くある誤解について。放射線に一度当たった、という事だけである物が危険になる事はありません。例えば、水にいくら放射線を当てても、危険物にはなりません。放射線はただ通り過ぎるか、水に吸収されるかで、水の中に放射線が残ったり、水を放射性物質に変えたりはしないからです。放射線は、伝染りません、と言い換えてもいいでしょうか。

危険なのはあくまで、放射性物質と、そこから直接出てくる放射線です。


ここで、単位について。聞いた事の無い単位ばっかり出てきて、大変ですよね。

ベクレル、と言うのは、大雑把に言うと、1秒に、どれだけの数の放射線が出てくるか(注3)。これが、放射能の強さ、です。上のリンクを見ると分かったと思いますが、最初の頃は、1秒の間にいくつも放射線が出てきているのが、最後の方は、1秒に1回も出てこなくなります。最初は数ベクレルの放射能があるのが、時間が経つに連れて、放射能が弱くなっていくわけです。半減期を変えるとどうなるかも、上のページで試してみて下さい。

水や野菜の測定では、1kgあたりのベクレル(Bq/kg)、つまり、1kgあったとして、その中から、1秒あたり何回放射線が出てきてるのか、という単位が使われてますね。

東京の水道水で出てきた、210Bq/kgと言うのは、1リットル(1kg)の水から、1秒に210本、放射線が出てきてる、と言う意味。ちょっと考えてみると、この水が5ccあると、1秒に1本、放射線が出てくる、という事でもあります。1秒に210回はイメージしづらかったら、こっちでイメージしてみて下さい。


シーベルト、と言うのは、放射線を受けて、体の中の組織がどれだけのエネルギーを吸収したかを測る単位です。これまた大雑把ですが(注4)。体への影響を測るのが、シーベルト

ミリシーベルトは、1000分の1、マイクロシーベルトは、100万分の1、です。気を付けないといけないのが、各地の放射線の計測、という時に出てくるのは、「毎時」シーベルト(シーベルト/時とも)だという事。1時間そこにいると、これだけ放射線の影響を受けるよ、という意味です。

同じ放射能(ベクレル)を持った物質でも、遠くにあれば、体に当たる放射線の数が少ないので、体への影響(シーベルト)は小さくなります。体への影響が一番大きくなってしまうのは、放射性物質を体内に取り込んだ場合。これは、中と外で影響が違う、という事ではなくて、中にあると、放射線が体に一番当たりやすいから、です。


…長くなりましたね。「だから、安全なの?危険なの?」と聞きたい人がいるんじゃないかと思います。今から、どれくらいまでなら安全なのか、目安を答えていきます。でも、ここまでの前置きは、必要だと思います。状況が変わった時に、あなた自身でいくらか判断できるように。少し厳しい言い方かもしれませんが、必要以上に不安になるのは、最初から最後まで他人任せな人です。

以下の計算は、桁さえ合っていれば、と言う計算です。心配性な人は、僕が書いた目安の半分くらいを目安にする、というようなのもありです。


というわけで、放射線を浴びると、どれくらい癌になりやすくなるのか。

まず、放射線を浴びなくても、日本人の半分くらいは癌になります(注5)。放射線を浴びると、このベースラインより、さらに癌になる可能性が上乗せされるわけです。

どれくらい癌になりやすくなるかというと、0.1シーベルト(100ミリシーベルト、10万マイクロシーベルト)被曝するごとに、約1%、癌になる可能性が上がります(注6)。

人それぞれの、リスクに対する考え方の違いもあるので、一概には言えませんが、0.01%は、万に一回、あまり大きな確率ではない、と思ってもらえるのではないかと思います。この記事では、0.01%増えるくらいなら、安全と言っていい事とします

癌になる可能性が0.01%上がるのは、1ミリシーベルトの被曝。被曝量が、ミリシーベルト単位から上になると、危険になってくる、と考えて良いです。ちなみに、人間が浴びている、自然にある放射線の世界平均は、年に2.4ミリシーベルト。短い間に、何年分、何十年分と浴びると、危なくなってくる、という事ですね。


じゃあ、実際に、今のところ計られている、屋外での放射線の量で、どれくらいの危険があるのか。まず、0.2マイクロシーベルト/時くらい0.1マイクロシーベルト弱が、自然にある放射線です。(これを1年浴び続けて、約2ミリシーベルト1ミリシーベルト弱の被曝で、他にも室内にあるラドンを吸い込む事などで、被曝しています。日本のケース。)


以下、各自、確かめてください。

もし、測定数値が、数マイクロシーベルト/時になると、1ヶ月浴び続けて、ミリシーベルト単位。

数十マイクロシーベルト/時になると、数日でミリシーベルト単位。


現時点では、原発の20kmくらいの所では、数十マイクロシーベルト/時になっている場所もあるようです。屋内にいれば、建物が、放射線をある程度さえぎってくれるので、屋内では、数マイクロシーベルト/時の被曝のはずです。

福島県の外では、茨城で、通常の数倍の数値が出ているようですが、それはつまり、何ヶ月かずっと外にいれば、1年分の放射線を受けて、0.01%ほど、癌になる確率が高くなる、という事です。今後、大量の放射性物質がまた原発から出てしまうことが無ければ、この放射線の量は心配する程ではないと思います。(これはあくまで、僕個人の判断。)


原発のすぐ近く以外では、水や食べ物から、放射性物質を体内に取り込んでしまう事で起こる、内部被曝の方が心配です。特に、甲状腺に溜まるヨウ素の、放射性を持ったヨウ素131が危険視されていますね。甲状腺に集中的に放射線が当たるので、甲状腺ガンに罹る可能性が上がるんです。他には、セシウム137、ストロンチウム90などが、こういった事故の際、注意しなければならない放射性物質です。

じゃあ、何ベクレルくらいの、放射性物質を体内に取り込んでしまうと、危ないのか。1ベクレルにつき、何シーベルトの被曝をするのか、まとめた表があります。(リンク)これを目安として、また大雑把な計算をします。

ヨウ素131(I-131)、ストロンチウム90(Sr-90)、セシウム137(Cs-137)の3つを見るとどれも、1ベクレル飲み込むごとに、0.01マイクロシーベルト単位の被曝をするとなっています。(注7,8)

危険になり始める約1ミリシーベルトに達するには、約10万ベクレル、これらの放射性物質を取り込まないといけません。この10万ベクレルというのは、この3つ以外の放射性物質が大量に出てこなければ、使えるので、覚えておいていいのではないかと思います

水道水の、1kgあたり200ベクレル、というのは、まず問題ないと思います。50リットル飲んでも、1万ベクレルです。用心するに越した事はないですが、心配し過ぎないよう。

1kgあたり1000ベクレルなどの数字が出ている野菜も、食べたらアウト、というような物ではないのは、分かってもらえるでしょうか。各自、どれくらいの量を食べているのか、考えて、判断してください。


危険になり始めるラインについて、まとめますね。

放射線の被曝が、ミリシーベルト単位になると、危険になり始める。

食べ物、飲み物から、10万ベクレル単位の放射能を体内に取り入れると、危険になり始める。(ヨウ素、セシウム、ストロンチウム以外の汚染が話題になると、更新する必要があるかもしれない)

どちらも、上に説明したように、厳密なものではありません。どれくらいのリスクなら受け入れられるのかは、最終的には個人の判断ですから。


以上、おおまかな目安の話ですが、少しでも、心配を和らげる事が出来れば、と思って書きました。質問があれば、コメント欄でも、ページ左側のメールフォームでもどうぞ。出来る限り答えます。僕の専門分野は、原子核物理なので、放射線自体の性質に付いては、もっと詳しく話せます。医療関係は、門外漢なので、基礎的な部分以外は答えられるかどうか保証できません。

もし、間違いがあった場合は、コメントですぐに教えてください。とても大雑把な話をしましたが、間違った情報は流していないつもりです。


(注1)放射線の種類については、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子、など、興味があったら質問、または他で調べてみてください。この記事は、大雑把な話だけです。

(注2)場合によっては、変わった後も放射性物質だったりもするんですが、本筋からそれるので、割愛。

(注3)本当は、1秒毎に起こる、崩壊の数。一度に複数の放射線を発する物質もあるので、放射線の数は、崩壊の数よりちょっと多い。だから、大雑把。

(注4)同じエネルギーでも、アルファ線や中性子は、ガンマ線などよりさらに悪影響を及ぼすことが分かっています。シーベルトという単位は、これも考慮に入れて、補正してあります。単純なエネルギーの吸収量の場合は、グレイという単位。

(注5)「元々半分だから、ちょっと増えても関係ない」、なんて事は僕は言ってませんし、思ってもいませんよ。事実をそのまま述べてるだけです。

(注6)大雑把な話です。もっと正確な数字は、チーム中川のブログなどにあります。

(注7)リンク先の、10^-8と言うのは、10の-8乗、0.00000001(0が8つ。1億分の1)の事です。0.00000001シーベルト=0.01マイクロシーベルト。

(注8)ストロンチウム90の場合、空気中にあるものを吸い込む方が、同じ放射能での被曝量が大きくなるようですが、一般的に、食べ物などに付いている場合の方が、空気中よりも濃度は格段に高いはずです。

テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

原発事故について

今回の地震・津波の後の、福島の原子力発電所での事故。原子力発電について予備知識のない人は、どう考えて良いのか分からないのではないでしょうか。

一番極端な話、原爆のように爆発するのではないか、という心配をしている人もいるように聞いています。(原発の燃料では、原爆のような大爆発はしない、と言っておきます)

正しい情報を持たなければ、正しい判断は出来ません。自分で説明しようかとも思ったのですが、より良いリソースがあるので、下にリンクを貼ります。ただ、さらに質問があった場合は、このブログのコメント欄でも、ツイッターの方ででも、聞いてみてください。僕に答えられる範囲でお答えします。(念のため:原子核の物理をやっていますが、原子力の専門ではありません)

下のリンクが、東大物理学科の早野教授の、ツイッターでの発言が、Q&Aの形にまとめられたサイトです。早野教授も、原子力の専門ではないですが、確証のあるデータから言える事を、慎重に語られています。

http://smcjapan.blob.core.windows.net/web/faq.htm

早野教授のツイッターはこちら


あと、もう少し時間に余裕のある人には、オススメの本があります。

今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈1〉今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈1〉
(2010/09)
リチャード・A. ムラー

商品詳細を見る


今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉
(2010/09)
リチャード・A. ムラー

商品詳細を見る


原発に限らず、エネルギー問題全般や、地球温暖化の話なども、物理学の視点から言える事をわかり易く説明してくれる本です。専門知識は必要なく、数式も本文には無いはずです(注にはある)。バークリーの教授の書いた本ですが、頼まれて宣伝しているわけではありません。向こうはそもそも僕の事を知りませんから。

原著の方を読んだので、翻訳は保証できません。原著で読みたい方は↓。邦題と違って、良い題です。

Physics for Future Presidents: The Science Behind the HeadlinesPhysics for Future Presidents: The Science Behind the Headlines
(2009/09/21)
Richard A. Muller

商品詳細を見る


知識を蓄え、それを心配している人に伝え、安心させてあげてください。

テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

運命~その2

前回は、ニュートン力学が成り立つ世界では、決定論も成り立つらしい、という話でした。

ある時点での宇宙の状態が分かれば、その後に起こる事は決まっている、という事。言い換えると、宇宙の始まりの状態さえ決まれば、宇宙で起こる全ての出来事はすでに決まってしまう、という事にもなります。見方によっては虚無的な世界観ですね。


でも実は、決定論は成り立たないんじゃないか、と物理学者が考えるようになったのが、20世紀の初頭。量子力学の発見による変化でした。

量子力学については、このブログでは多分一度もちゃんと話していないんですが、ポイントを絞って頑張ってみます。


最初から結論を言ってしまうと、原子などのミクロの世界では、1つの粒子がどう振舞うのかを予測する事は出来ないらしい、という実験結果がどんどん出てきたんです。

その1つは、粒子の崩壊。不安定な物質が、他の物質に変化するプロセスです。崩壊する物質(放射性物質)は沢山ありますが、例として中性子の話をします。


中性子は、陽子と一緒に原子核を作り上げている粒子ですが、単独で置いておくと崩壊してしまう不安定な物質です。放っておくと、陽子、電子、反ニュートリノの3つの粒子に変化してしまうんです。崩壊するまでにどれくらい時間がかかるかというと、平均寿命が約15分。

この平均寿命が15分というのは、15分経つと一斉にみんな崩壊する、という事でしょうか?違います。

中性子の数の変化をグラフにすると、下のようになります。
exponential decay

これは、指数関数のグラフ。銀行に預けたお金が利子で増えるのと同じです(時間が逆なだけ)。銀行にお金を預けると、1月に何%か、特定の割合で増えていきます。中性子の数も、一定の時間経った後で測ってみると、何%か、一定の割合で減っていく、という事。

グラフでも分かるのは、約10分経ったところで中性子の数は半分になって、また10分経つと、そのまた半分の4分の1になっている事。半減期が約10分、という言い方をします。


沢山の中性子を一度に観測すると、上のようなデータが出て来るわけですが、1つ1つの中性子を見た場合にはどうでしょう?

1つの中性子が、10分経った後に崩壊している確率は約50%です。でも、ある特定の中性子が崩壊するかどうかを予測出来るかのかどうか、が決定論の話をする際には問題になります。

そしてこれについて言えるのは、10分経った後に崩壊する中性子と、崩壊しない中性子を区別する方法は、知られていない、という事。ここまで分かっている限り、崩壊する中性子としない中性子に、性質の違いというものはないんです。


要するに、中性子の崩壊について予測できるのは、それが起こる確率だけ。1つの中性子を観測しているとして、その中性子が最初の1分で崩壊する可能性もあれば、何時間も崩壊しない可能性もあって、実験前には、それぞれの出来事が起こる確率しか分からないんです。


この発見からすると、決定論は間違っている、と考えられます。同じ状態の物質を作っても、その後の出来事が変わってしまうわけですから。

宇宙の始まりの状態が分かっても、その後の出来事について分かるのは、それが起こる確率だけ。決定論に代わって、確率論が正しいとされるようになったんです。

アインシュタインの、「神はサイコロを振らない」という言葉は聞いたことがあるかも知れません。これは、この確率論的な見方に対する反発です。彼は、崩壊する中性子と崩壊しない中性子には、今のところ観測されていないけれど違いがあるんじゃないか、と考えていたんですね。物理法則は決定論的だと信じていたんです。


さてこの話、もうひと捻りあるんです。次回は、実は量子力学も決定論的なのでは、と言う話。説明できるんだろうか…

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

運命~その1

運命、というより「決定論」の話をします。いくつか違う場所で話題に上ったので。

まず定義から。Wikipediaを見てみると、
決定論(けっていろん、英:determinism)とは、あらゆる出来事は、その出来事に先行する出来事のみによって決定している、とする立場。

この世界で起こる事は全て、今までの出来事や、今までの状態だけから決まっている、という考えです。運命はある、というより、運命しか無い、という立場ですね。


これを信じたくて信じているような人は珍しいと思うんですが、実は、物理学的に、この世界は決定論的だと考えられていた時期があります。

高校で習う物理学(ニュートン力学/古典力学)で物体の運動を求めるために必要なのは、ニュートンの第2法則。
2nd law
Fは物体にかかる力。mが物体の質量で、aが物体の加速度。つまり、物体の質量と、それにかかっている力が分かれば、この物体がどのように加速されるのかが分かる、というのがこの式の語っている事。

ここで、どのような力が働くのか、というのが問題になりますが、これは、全ての物体の位置と速度が分かれば、分かるものだと考えられます。ニュートンによると、2つの物体に働く重力はお互いの位置が分かれば分かるもの、でしたし、電気や磁気による力が研究されるにつれて(18~19世紀)、これも物体の位置や速度が分かれば力が分かるものだと分かってきました。


という事は、です。

ある時点での宇宙全体の状態が分かれば、その後の宇宙の状態は原理上は計算できる、という事になります。もちろん、人間にはこんなすごい計算は無理なわけですが、人智を超えた存在が、もし世界全体の状態を知っていたとすると、未来の全ての出来事がこの知能には分かる、と言ったのがフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラス。

現実的には、そんなすごい計算はできないし、宇宙全体の状態を知ることも出来ませんが、答えがある、全ては決まっている、というわけです。この人智を超えた知能の事は、ラプラスの魔、と呼ばれています。


とにかく、この物理的な決定論は、19世紀には主流と言っていい考え方でした。

次回は、決定論が揺らいだ物理の発見について。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

潮の満ち引き

潮の満ち引きは、月の重力のために起こる」というのは結構の人が知ってるんじゃないでしょうか。

でもそこまでの知識があったとして、実際どうやって起こるのか、ちゃんと説明出来る人は少ないんじゃないかと思います。

月に近い海面が、月に向かって引っ張られる、だけではダメなんです。なぜかと言うと、満ち潮は1日に2回起きるから。この説明だと、1日に1回しか起こらないはずですね。


ちょっと、前このブログでした話に戻ってみます。(関連記事はこちら→「無重力」状態って?質量?重力?(前半)質量?重力?(後半)

地球の上空から、エレベーターを真っ直ぐに落としたとします。すると、中にいる人は、無重量状態を体験することになります。(空気抵抗を無視した場合)


↑のように、エレベーターの中にボールを浮かせたとすると、どれもその場を動かずにいるわけです。


でも、これが全てじゃないんです。もし、エレベーターが地球と比べて巨大だったらどうなるでしょうか?


エレベーターの中に浮かせたボールは、地球の中心に向かって重力で引っ張られます。という事は、右のボールは左側に、左のボールは右側に向かって引っ張られるわけです。

さらに、地球に近い方が重力は強くなるので、下のボールは上のボールより強く引っ張られることになります。


という事は、少し時間が経つと、ボールの位置関係は↓こう変わるんですね。



重力の強さが一定ではない場合には、フリーフォールしているエレベーターの中でも重力があることが分かるんです。

エレベーターの中のボールに働いている、左右を狭め、上下を広げるような力を、潮汐力と言います。


なぜそういう名前がついたのか。上の絵の星が、月だと想像して下さい。エレベーターは、地球です。月と地球の間には重力しか働いていないと考えて問題ないですから、地球は月に向かってフリーフォールしているんですね。(月も地球に向かってフリーフォールしています)

ということは、月の重力には、幅を狭めて、長さを引き伸ばす働きがあります。

地面は固いので、この力によって曲がるようなことはありませんが、水はある程度自由に動けるので、月に向かった部分とその反対側では、水面が膨らんで満ち潮になっているわけです。そしてその中間では、水面は地面に向かって押し付けられて引き潮になります。

これなら、1日に2回ずつ、満ち潮と引き潮がある事が説明出来ます。月との位置関係も、観測とちゃんと一致します。


ところで、これを自分で考えても分からなかった、と言っても全然恥ずかしい事はないです。17世紀にアイザック・ニュートンが現れるまでは誰にも分かっていなかった事ですから。

例えばガリレオは、地球が動いているから水が影響を受けるのだと考えていたようです。潮の存在が、地動説の根拠になると考えていたようですが、無理がありました。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

「宇宙といえば何を思い浮かべますか?」

FC2ブログのトラックバックテーマ、
「宇宙といえば何を思い浮かべますか?」

…え~?!専攻してる人間としては、漠然としすぎてて答えようが無い(笑)

宇宙って、観測出来るもの全てですを含んでますよ。地球は宇宙の一部だし、僕も君もダライ・ラマも宇宙の一部。


強いて言えば、宇宙と言うとその全体の事だから、思い浮かべるのは宇宙の歴史ですね。

ビッグバンの後、膨張する空間、それにつれて下がる温度、クォークとグルーオンのプラズマが、陽子と中性子になり、それが集まって原子核になり、さらに電子を捕らえて原子になり、重力によって星や銀河が作られ、星の中で炭素や酸素などの核が作られ、それが超新星爆発で放出されて太陽のような星のもととなり、おかげで地球に生命が生まれて数十億年の進化の後に今に至る、と。

一文にまとめました。(かなり無理あるって)

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

そういえば

潮の満ち引きについて話すつもりが、忘れてました。

ちょっと考えてから出直してきます。


昨日はサンフランシスコのジャパンタウンで囲碁のトーナメントがありました。

つくづく思ったのが、師匠がいると助かるなぁ、と。(囲碁でなくても、大事だと思います)

初段の知り合いが、僕の勝った一局を並べ直しながら指導してくれたんです。

時々対局するので、僕の課題点がよーく分かってるんですよね。毎度的確なアドバイスをくれます。

初段と言うとすごく強いというわけではないんで、いずれは抜く気満々ですが(笑)今はお師匠様様です。


ジャパンタウンといえば紀伊国屋があります。囲碁の本含め、色々見てきたんですが今回は収穫なしでした。

老荘思想の本とか気になるものはあったんですけどね。金欠なので慎重に吟味してます。まだ読んでない本も多いし…

テーマ : ブログ
ジャンル : ブログ

(完結編?)SF的ネタ

ネタにマジレス的な感じもする「宇宙船地球号」の話。でも、ショートショートが書けそうな気がしてきたからいいのかな(笑)続きです。(前回


前回に書いたほどのエネルギーが必要となると、地球上で考えられるエネルギー源は1つしかありません。それは、質量エネルギー。E=mc2ですね。(ひ)さんが前の記事でコメントしていた、核融合、核分裂などの原子核エネルギーが主な可能性です。(陽子とか中性子を消滅させられればさらに良いですが、これは本当にSFネタです)

1033Jという莫大なエネルギーを得るためには、当然かなりの量の物質が必要になります。例えば、水素を核融合させてヘリウムを作る場合で考えてみます。

この場合、1つの水素につき得られるエネルギーは、約10-12J。この反応だけで全部のエネルギーを捻出しようとすると、1018kgの水素が必要になります。メガトンが109kgなので、10億メガトン、ですね(笑)

水素は、地球上には沢山ある元素なので、資源量的には問題ありません。例えば海水の約1%から水素を取り出せば、上の量になります。(計算あってるかな…)

問題なのはやっぱり、技術的にそんなに大量の水をプロセス出来るのか、ですね。


というわけで、本当に前回に書いたほどのエネルギーが必要なのかどうか考えてみましょう。

実際に太陽系の外に出ると思われる宇宙船があるのかというと、あります。1977年に打ち上げられたボイジャー1号と2号などの無人探査機です。(トリビア:2号の方が1号より先に打ち上げられた)

こういった探査機が、打ち上げ当初から太陽系の外に出られる速度を持っていたかと言うと、そうとは限りません。惑星の近くを通り過ぎる際に、軌道をうまく取れば加速させてもらえるんですね。スイングバイ、重力アシスト、重力ターンなどと言われるテクニックです。(Wikipedia

つまり、他の惑星の近くをタイミング良く通り過ぎることが出来れば、エネルギーが相当節約出来るわけです。どの軌道が一番効率が良いのかは正直知りませんが、普通に火星、木星辺りを目指すのか、それとも、一度太陽に近づく方向に軌道を取って金星に助けてもらうか(土星探査機カッシーニはこの方法でした)。色々とオプションがあります。

でも、これでどれくらい節約出来るんだろう?必要なエネルギーを何桁も減らせるとは思えない…


adbmalさんが前回のコメントに書いてくれたもう1つの課題は、太陽系の外に出た後の環境の維持。

太陽系の外に出た後は多分、何百、何千年と他の恒星の近くまで辿り着けません。その間、地球の持っている熱はどんどん放射されてしまい、結局は絶対零度から数度、という低温まで冷えてしまうはずです(どれくらいの期間かかるのかは計算していません)。どうやって残しておきたい生き物を生き続けさせるのか、という事ですね。

自分の考えついた中でのベストアンサーは、環境を維持しない、です(笑)もう最初から諦めてしまって、必要最小限のものだけを動けるようにしておくんですね。

生き物は、遺伝情報とその情報から生き物を作るための装置(これは、生き物自体かもしれません)だけにして、冷却保存します。この冷却保存、最初の頃はエネルギーが必要ですが、地球自体が冷えてくれば放って置いても暖かくならないようになります。

目的地の恒星の近くまで来て、元の地球と同じ温度を保てる軌道に落ち着いたところで、これを解凍。元の環境を取り戻すために遺伝情報を解読して生き物を作り出すんですね。ここまでの軌道の制御も含めて、なかなか手の込んだロボットが必要でしょう。


こんなん、上手く行くのかなぁ?


ま、実際にこんな技術力があれば、地球のような惑星を見つけて、もっと小さな宇宙船でそこに行った方が明らかに効率がいいんです(笑)宇宙船地球号は、夢のある話というか、夢でしかない話、という事で。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

(続き)SF的ネタ

「地球を改造して、宇宙船にすることは出来るんですか?」
という質問への、自分なりの答えです。まずは、物理的にどういうハードルを超えないといけないのか。

質問をもう少し厳密にしておくと、「地球を改造して」というのは、地球の質量のほとんどを動かすと言うこと。半分以上、としてもいいです。難しさはあまり変わらないはずなので。「宇宙船にする」というのは、太陽の重力圏の外に出られると言うこと。(これは物理学的にはちょっと厳密さがまだ足りませんが、いいとします)


最初に、どれくらいのエネルギーが必要なのか。

重力の問題を考えるとき、高さに置き換えて考えると分かりやすくなります。
gravitational potential
↑の図は、天体の周りの重力ポテンシャルの大きさを表したもの。例えば真ん中にあるのが太陽だとすると、物体を止まった状態でどこかに置くと、太陽に向かって落ちて行ってしまいます。

地球などの惑星は、ぐるぐると回る遠心力のおかげで、真ん中まで落ちないでいられる、というわけ。

地球の動く速さを上げると、もう少し高いところ、つまり太陽からもっと遠い軌道で回れることになります。そしてさらに速さを上げると、外の平らなところまで行けます。これが目標。


元々軌道を回っていた物が重力圏の外に辿り着くためには、運動エネルギーを2倍にしないといけない、というのが物理学では昔から知られています。(ビリアル定理、素人向けではないです)

運動エネルギーは、
blog.jpg
質量mに、速度vの2乗を掛けて、2で割ればいいんですね。

地球の質量は6×1024kg。太陽の周りを回る速度は、秒速30km。これを代入すると、
blog2.jpg
34桁のすごい数字が出てきました。ジュール(J)という単位にどれくらい馴染みがあるのか分からないんですが、1ワットというのは、1秒につき1ジュールのエネルギーを使う、という意味です。

今の地球上の発電所を全部合わせると、約15テラワット(15×1012 W)の電力が作られています。これを全部地球を動かすのに回しても、太陽系の外に出るには数兆年かかります。宇宙が生まれて138億年と考えられていますから、その10倍以上かかるんですね。

…無理そう。

でもこれは、今の技術でやろうとした場合。将来、もっとずっと効率を良くエネルギーを使えるようになっているとすれば、一概に無理とは言えません。


もう1つのハードルは、運動量。上に書いた量のエネルギーを使っても、地球を動かしたい方向に推し進めるように使わないと、無駄になってしまいます。

地球を推し進める仕組みとしては、基本的には今も使われているロケットの原理が一番良いのではないかと思います。進行方向の反対側に向かって物質を放出して、その反動で地球本体を前に進めるんです。(地球の外はほぼ真空なので、空気をかいて進むプロペラなどの仕組みは論外です)

これは、運動量の保存を利用した仕組みです。噴射する前の、地球+燃料の運動量は、噴射した後の、地球+燃料の運動量と一緒。
uesc_03_img0155_20100513031146.jpg
燃料が後ろに向かって飛んで行っている場合、その燃料の後ろ向きの運動量の大きさの分、地球の運動量が前向きに大きくなるんです。

運動量は、質量×速度。より多くの質量を、より速く後ろ向きに噴射出来れば、地球の速度を大きく変えられる、という事。


じゃあ、地球の運動量を、太陽系の外に出られるだけの大きさにしようとすると、どれくらいの燃料を、どれくらいの速さで噴射しないといけないんでしょうか。

燃料が、地球の1%、100分の1の質量を持っているとすると、地球の100倍の速度で噴射しないといけません。上に書いたように、地球の速度は秒速30kmなので、燃料の速度は秒速3000km。光速の100分の1です。(相対性理論はまだ大きく効いてこない速度です)

これまた、すごい数字ですね。10秒くらいで地球を一周できる速さです。

さらに問題なのが、この秒速3000kmというのは、燃料が大気圏の外に出てからの速度だという事。燃料を、地表から上に向かって秒速3000kmで噴射しても、空気との摩擦で相当遅くなってしまうはず。大気自体への影響も良いものではないでしょう(苦笑)一番無駄がないのは、10kmほどの長さのダクトを宇宙に向かって取り付けることかも知れません。(秒速3000kmで大量の物が通り抜けても大丈夫なダクトかぁ…)


とにかく、今の技術とは比べ物にならないものが必要なのは確かそうです。でも、いくつかのアイディアや、抜け道のようなものも考えてみました。長くなったのでそれは次回。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

プロフィール

アシュリー

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

ブログ内検索
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
リンク
RSSリンク
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。