スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

強盗

このブログのコメントは、承認なしで書き込めるようになってます。なのに、前の記事への(ひ)さんのコメントが、「管理人の承認待ち」になってて、変だなぁ、と思って設定を見てみると…んー、やっぱり承認は要らない設定にしてある。

今、(ひ)さんへの返事を書いてみたところ、それも承認待ちに。管理人のコメントが承認待ちってどういう事だ(笑)

…と思って設定をもう一回見てみると、1ヶ月記事の更新がないと、全部承認待ちにされるみたいですね。面倒なので記事を書きます(なんていい加減な)


というわけで、前回一言だけ書いた強盗に付いて少し。

5月末の夜、キャンパス内を1人で歩いていたところ、銃を突きつけられて色々盗られました。特に怪我は無いですが、貧乏なのがさらに貧乏に…

分かっていたはずの防犯対策をしていなかった自分も悪いので、反省するのみです。犯罪都市のメンフィスやセントルイスにいる時は、もっと気を付けていました。

言うのも恥ずかしいくらい、危険に無頓着だった時に起こったので、正直なところあまり教訓にもならないです。日本よりここが危険なのは明らかなんですが、ちゃんと対策していれば、犯罪に遭う可能性はかなり低い、というのは変わらないと思います。

対策というのは、出来る限り夜道を1人で歩かない。歩くなら、街灯の明るいところ、周りに人のいる場所を選んで歩く。そして、周りに注意を配る、くらいの当たり前のことです。
スポンサーサイト

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

原子核発見100周年

先週、強盗に遭ってしまいまして、大変なんですが、それに付いてはまたあとで。

5月のうちに書かないと、という話なのでこちらを優先します。というか、強盗の件は、どうまとめれば良いのかまだ見当が付かないので…


なんで全然話題にならなかったんだろう、という話で、今月は、原子核発見の100周年でした。

1911年5月は、論文が発表された月で、学会での発表は3月だった、というのは理由かもしれません。でも、3月にもそういう話は無かったですよね…


とにかく、1911年5月に、ニュージーランド生まれの物理学者アーネスト・ラザフォードが、原子には、とても小さい核が存在するのでは、と考える事で、ある実験の結果を説明しました。どんな実験だったのか、という本題に入る前に、このラザフォードの発見以前に、原子がどのようなものと考えられていたのか、まずまとめます。


モノをどんどん分割していくと、これ以上分割できないモノに行き着く、という原子論が受け入れられるようになったのは、18、19世紀の化学の発展によってでした。その原子にも、さらに細かい部品があるらしい、と言うのが分かったのが19世紀の末です。ガスに電圧をかけると、飛び出してくるモノがある事が分かったんですね。

cathode ray

これが電子。発見したのはイギリスのJ.J.トムソンでした。

トムソンは、磁場によって電子が曲がるのを観察して、電子が負の電荷を持っている事、そして、原子全体の質量と比べて、電子は1000分の1の質量もない、という発見をしました。(注1)


原子全体には電荷が無いので、負の電荷を持つ電子と、正の電荷を持つなにかが一緒になって、原子を作っているはずです。そこでトムソンは、正の電荷を持った球体の中に、小さな電子が散りばめられてるんじゃないか、と言ったんですね。

これが、プラムプディングモデル、と呼ばれる説です。原子は、プラムの果実が散りばめられてるお菓子のようなものなんじゃないか、という事です。

plum pudding

電子が、原子全体と比べてとても軽い事が分かったので、場所を取っているのは正の電荷の方だろう、というのはごく自然な仮説でした。


このプラムプディングモデルの発表が1904年。これでは説明できない実験が現れるまでには、5年しかかかりませんでした。

当時は、ラジウムなどから発される放射線が発見されたばかりで、放射線とは何か、という研究が盛んに行われていました。キュリー夫人など有名ですね。ラザフォードも、放射線の研究で名を上げた学者で、放射線を出した原子が、別の元素になる事がある、と言う発見で1908年にノーベル化学賞を受賞していました。α線、β線、γ線の名付け親も彼。

プラムプディングモデルを覆したのは、この放射線の研究の一環で、α線を、物質にぶつけると、どういう事が起きるのか、という実験でした。


プラムプディングから予測されるのは、下の図。
plum pudding prediction

原子の正の電荷(ピンクの部分)には広がりがあるので、α線に大きな力を加える事はありません。α線も正の電荷を持っているので、他の正の電荷からは反発されるのですが、上にあるものには下に向かって押され、下にあるものには上に向かって押される、と言うように力が打ち消されてしまうからです。

さらにα線は、電子よりずっと重い、という事が知られていました。そこから予測できるのは、電子(水色)の近くを通っても、あまり曲げられる事はない、という事。つまり、プラムプディングの原子に、α線が大きく曲げられる事はない、という事です。


実際に実験をしたのは、ラザフォードの助手だったハンス・ガイガー(注2)と、学部生のアーネスト・マースデン。α線を金箔に当てて、その周りに、α線が当たると光るスクリーンを置いて、それを顕微鏡で眺めて光る回数を数える、という、すごい地味な実験です。観察する際には、まず暗闇に20分ほど入って目を慣らさないといけなかったとか。だから学部生を使ったのか、と思ってしまいますが…

その実験ではなんと、α線が金箔の手前に跳ね返される、という現象が見つかったんです。α線、2万本につき1回、という珍しさですが、大量のα線を使っていたので、十分に観測できる数でした。

ラザフォードは、ノーベル賞をすでに受賞していて、この後にも大発見にいくつか関わったのですが、この結果を聞いたときほど驚いた事は無かったと語っています。彼はこの実験を、「砲丸をティッシュペーパーに向かって打ち込んだら、跳ね返されて戻ってきたよう」、と表現しました。


こんな事が起きる理由は、原子の中の正の電荷は、大きく広がっているのではなく、小さな核に固まっている、と考えれば分かります。

nucleus prediction

大きな電荷と質量が小さな容量に固まった原子核があるとします。そんな原子核とα線が正面衝突すれば、α線が真後ろにはじき返される、というわけです。


というのが、主流のストーリーなんですが、実は、原子核説を唱えていた人はラザフォード以前にもいました。少なくともフランスのジャン・ペランと日本の長岡半太郎の2人。太陽系からの類推で、真ん中に核があって、その周りを電子が回っているんじゃないか、という発想だったのですが、実験からの証拠は得られず、2人ともガイガーとマースデンの実験以前に、この説を突き詰める事は諦めていたようです。

長岡の1904年の論文は、イギリスのPhilosophical Magazineという学術誌に載ったので、ラザフォードにも読まれていました。100年前のラザフォードの論文にも引用されています。


以上、ですが、あとでちょっと参考文献など書き足しますね。

(注1)ちなみに、ブラウン管のテレビは、電子を磁場で曲げる事で、画面のどこを照らすかコントロールしています。

(注2)ガイガーカウンターのガイガー。「助手」と書きましたが、実際の肩書きが何だったのかはすぐには分かりませんでした。

テーマ : 物理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

小さい世界

原子核に付いて書こうと思ったんですが、その前に、基礎の話。みんなにイメージだけでも知っておいて欲しい話です。科学については詳しい、と自覚しているような人には、つまらないかも知れません。

自分で絵を書こうとも思ったんですが、もっと良い絵があるので、使わせてもらいます。xkcdという理系オタク向けのコミックスから。描かれてるものを、全部暗記しようとかはしなくていいです。ネタも混じってますし。重要だと思う部分だけ、あとで説明するので、まずは眺めてみてください

"Depth"、深さ。

Depth

人間の大きさから、ずっと小さいものまで並んでるわけです。

正直、生き物でやって欲しかったんですが、これより上手く描く自信はないので我慢(笑)


上の方から順に。

1.人の大きさは、1~2mくらい。でもこの記事では、すごく小さい数の話をするので、桁以外は気にしない事にします。

というわけで1m


2. "Ovum"

人の卵子ですね。生き物はものすごい数の細胞から出来てますが、細胞の中でも大きい方です。

10-4m、0.1mmくらいの大きさです…という事は、肉眼で見えますよね?面白いなぁ。

人間の体の中には100兆個くらいの細胞があります。


3. "Bacteriophage"

これはウイルス。ウイルスには細胞がありませんが、遺伝子は備わっています。「頭」の部分に、DNAまたはRNAが入っているんですね。

10-8~10-7mの大きさ。10~100nmとも書けます。nm(ナノメートル)は、10億分の1m。

人間の遺伝情報が入った染色体も、大体同じ大きさです。


4. "Si, Si, Si…"

これは、コンピュータを拡大してるので、半導体のシリコン(ケイ素)の原子が並ぶ絵になってます。コンピュータ以外のものでもなんでも、拡大すれば原子で出来ていることが分かります。生き物を拡大した場合には、酸素、水素、炭素、窒素の原子が特に多く登場するはずです。

原子が集まり、1つの塊になっている物が分子で、単純なものでは、水(酸素原子1個と水素原子2個)や、二酸化炭素(酸素原子2個と炭素原子1個)などがありますね。DNAは、とても大きな分子で、数十億個の原子から出来ている場合もあります。

原子の大きさは、10-10mくらい。0.1nmです。

人間の体に含まれる原子の数は、28桁の数字になるくらい多いです。そんなに原子が小さいと思うのか、そんなに人間が大きいと思うのかは、視点の違いですね。


4. "Electron cloud"

1つ1つの原子が何で出来ているかというと、原子核の周りに電子(electron)があります。元素(原子の種類を決めるのは、(普段)その原子の中に電子が何個あるのか、です。

原子と原子がくっついて分子を作るのは、いくつかの原子の間で電子を交換したり、間に電子を置いたりした方が安定した状態になる事がある、という事です。化学という学問は主に、どういう場合にこれが起こるのか、という探求です。


5. "Silicon nucleus", "Proton"

一番下の方にあるのが、原子核(nucleus)。

原子核の大きさは、10-15mくらい。原子全体の10万分の1の大きさしかありません。原子核の大きさからすると、かなり遠くに電子があるという事です。

原子核は、陽子と中性子というもので出来ています。小さい小さい原子核ですが、原子の重さ(質量)のほとんどが、原子核に詰まっています。陽子と中性子は、どちらも電子の2000倍くらい重いからです。

陽子と電子は、静電力で引き合うようになっていて、ちょうど同じ数になると一番安定します。なので、原子の中にある陽子の数と、電子の数は一緒。原子の種類は、電子の数で決まると書きましたが、原子核の中にある陽子の数でも同じ答えになります。

中性子は、静電力には関わらないので、電子への影響も小さく、化学反応とはあまり関係がありません。ただ、重さは陽子とほぼ同じですし、原子核が安定するかどうかは、中性子の数に大きく左右されます

放射性物質と言って、ここ2ヶ月のニュースに出ている物質は、中性子の数が少な過ぎたり、多過ぎたりするために、原子核が不安定になっているものなんですね。(原子炉から出ているものは、中性子が多過ぎるものがほとんどです。)


もっと小さいものに付いて、絵に描かれていない事を少しだけ話すと、陽子や中性子も、クォークと呼ばれるさらに小さい粒子で出来ている事が分かっています。そして電子やクォークは、今のところ素粒子、つまりそれ以上分解できない粒子だと考えられています。どちらも、今は測れないほど小さいものです。大きさのない、点粒子だという可能性もあります。


大雑把な話だけでも、みんなに知っておいてほしいな、と思ったことです。大きい物の話もした方がいいかな?大きい物の絵もxkcdにあるんで。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

放射線・放射能の基礎

(まず広報:はてなダイアリー始めました。今のところ、放射線関係の、ちょっと専門的な話しかありません。こっちのブログは、ゆるめの話専用で使い続けようと思います。ゆるめ、と言っても、僕の場合は学術的過ぎない話、と言う意味…いや、読者の方なら分かりますよね。)


原発からだけでなく、食品や水道水の検査結果など、不安なニュースが続き、大丈夫なんだろうか、と、とにかく心配な方も多いと思います。自分は大丈夫でも、周りに、パニック状態になっている人がいる、という場合もあるでしょう。

いずれにしても、正しい情報を得て、それを元に判断する、というのがとても大事だと思います。放射線の、ほの字も分からない、というような人のため、または、そういう人に説明したい人のための記事を書こうと思います。上手く出来るかどうかは疑問…

基本の基本は分かっている、という人のためには、他にリソースが沢山あります。多分、一番のお勧めは、放射線医学総合研究所。電話のホットラインもあるようです。Twitterでは、測定データ等は早野教授。医療関係は、チーム中川(チーム中川は、主にブログで発信することになったようです。)。


僕は日頃から、科学には、用語を言っただけで恐がられる、3つのモノがあると言ってます。生物学では「微生物」、化学では「化学物質」(笑)、物理学では「放射線」。どれも、危険なものもあるのは確かなんですが、人間が生きて行くために必要不可欠なものもあります。大事なのは、しっかりとした知識を持つことです。

この3つに(大体)共通するのは、目に見えない事。見えない恐怖、と言うのは、人間の心理深くにあるんでしょう。まずは、放射線と、放射能物質のイメージから始めようと思います。


放射線は、とても大雑把に言うと、さえぎられなければ真っ直ぐ進むとても小さい粒子、です。そういう粒子を、ひとりでに吐き出すものがあって、これが、放射性物質。(注1)

放射性物質を作り上げている原子も、有害な放射線も、肉眼では見えませんが、もし、目に見えたとすると、どうなるでしょうか?物理学者の、前野教授が、こんなページを作ってくれました。

このページで分かるのは、まず、1つ1つの原子核は、1回ずつしか放射線を出さない事。これは、放射線を出すと、別の物質に変わるからです(注2)。時間が経つに連れて、放射性物質の量は減っていって、同じ塊から出てくる放射線の量も、減って行きます。よく出てくる、半減期、と言うのは、元々あった放射性物質が、半分の量になる時間です。


次に、なんで放射線が危険になる事があるのか。

それは、素早く動いている粒子が、体の中にある物質に当たると、当たった分子を分解してしまう事があるからです。

もし、一度に大量に放射線を浴びた場合、大量の分子が分解され、細胞がいつも通りに働かなくなってしまいます。これが、原爆などで、大量の放射線にさらされた人の症状の元です。被曝の「確定的影響」、というのはこれです。今回の原発事故では、一般市民にこういった事が起きる可能性は、まず無いです。原発の作業員の方でも、しっかりと管理がされていれば起こりません。(残念ながら、起こってしまったようですが…)

今回、一般人が心配しないといけないのは、「確率的影響」と言われる物です。放射線が、DNAに当たった場合、突然変異が起こる事があります。この突然変異のために、普段なら、増殖しすぎないような仕組みが働いている細胞が、一気に増殖してしまう場合があります。これが、癌。つまり、放射線を浴びると、癌になる可能性が高くなる、という事です。

1つ良くある誤解について。放射線に一度当たった、という事だけである物が危険になる事はありません。例えば、水にいくら放射線を当てても、危険物にはなりません。放射線はただ通り過ぎるか、水に吸収されるかで、水の中に放射線が残ったり、水を放射性物質に変えたりはしないからです。放射線は、伝染りません、と言い換えてもいいでしょうか。

危険なのはあくまで、放射性物質と、そこから直接出てくる放射線です。


ここで、単位について。聞いた事の無い単位ばっかり出てきて、大変ですよね。

ベクレル、と言うのは、大雑把に言うと、1秒に、どれだけの数の放射線が出てくるか(注3)。これが、放射能の強さ、です。上のリンクを見ると分かったと思いますが、最初の頃は、1秒の間にいくつも放射線が出てきているのが、最後の方は、1秒に1回も出てこなくなります。最初は数ベクレルの放射能があるのが、時間が経つに連れて、放射能が弱くなっていくわけです。半減期を変えるとどうなるかも、上のページで試してみて下さい。

水や野菜の測定では、1kgあたりのベクレル(Bq/kg)、つまり、1kgあったとして、その中から、1秒あたり何回放射線が出てきてるのか、という単位が使われてますね。

東京の水道水で出てきた、210Bq/kgと言うのは、1リットル(1kg)の水から、1秒に210本、放射線が出てきてる、と言う意味。ちょっと考えてみると、この水が5ccあると、1秒に1本、放射線が出てくる、という事でもあります。1秒に210回はイメージしづらかったら、こっちでイメージしてみて下さい。


シーベルト、と言うのは、放射線を受けて、体の中の組織がどれだけのエネルギーを吸収したかを測る単位です。これまた大雑把ですが(注4)。体への影響を測るのが、シーベルト

ミリシーベルトは、1000分の1、マイクロシーベルトは、100万分の1、です。気を付けないといけないのが、各地の放射線の計測、という時に出てくるのは、「毎時」シーベルト(シーベルト/時とも)だという事。1時間そこにいると、これだけ放射線の影響を受けるよ、という意味です。

同じ放射能(ベクレル)を持った物質でも、遠くにあれば、体に当たる放射線の数が少ないので、体への影響(シーベルト)は小さくなります。体への影響が一番大きくなってしまうのは、放射性物質を体内に取り込んだ場合。これは、中と外で影響が違う、という事ではなくて、中にあると、放射線が体に一番当たりやすいから、です。


…長くなりましたね。「だから、安全なの?危険なの?」と聞きたい人がいるんじゃないかと思います。今から、どれくらいまでなら安全なのか、目安を答えていきます。でも、ここまでの前置きは、必要だと思います。状況が変わった時に、あなた自身でいくらか判断できるように。少し厳しい言い方かもしれませんが、必要以上に不安になるのは、最初から最後まで他人任せな人です。

以下の計算は、桁さえ合っていれば、と言う計算です。心配性な人は、僕が書いた目安の半分くらいを目安にする、というようなのもありです。


というわけで、放射線を浴びると、どれくらい癌になりやすくなるのか。

まず、放射線を浴びなくても、日本人の半分くらいは癌になります(注5)。放射線を浴びると、このベースラインより、さらに癌になる可能性が上乗せされるわけです。

どれくらい癌になりやすくなるかというと、0.1シーベルト(100ミリシーベルト、10万マイクロシーベルト)被曝するごとに、約1%、癌になる可能性が上がります(注6)。

人それぞれの、リスクに対する考え方の違いもあるので、一概には言えませんが、0.01%は、万に一回、あまり大きな確率ではない、と思ってもらえるのではないかと思います。この記事では、0.01%増えるくらいなら、安全と言っていい事とします

癌になる可能性が0.01%上がるのは、1ミリシーベルトの被曝。被曝量が、ミリシーベルト単位から上になると、危険になってくる、と考えて良いです。ちなみに、人間が浴びている、自然にある放射線の世界平均は、年に2.4ミリシーベルト。短い間に、何年分、何十年分と浴びると、危なくなってくる、という事ですね。


じゃあ、実際に、今のところ計られている、屋外での放射線の量で、どれくらいの危険があるのか。まず、0.2マイクロシーベルト/時くらい0.1マイクロシーベルト弱が、自然にある放射線です。(これを1年浴び続けて、約2ミリシーベルト1ミリシーベルト弱の被曝で、他にも室内にあるラドンを吸い込む事などで、被曝しています。日本のケース。)


以下、各自、確かめてください。

もし、測定数値が、数マイクロシーベルト/時になると、1ヶ月浴び続けて、ミリシーベルト単位。

数十マイクロシーベルト/時になると、数日でミリシーベルト単位。


現時点では、原発の20kmくらいの所では、数十マイクロシーベルト/時になっている場所もあるようです。屋内にいれば、建物が、放射線をある程度さえぎってくれるので、屋内では、数マイクロシーベルト/時の被曝のはずです。

福島県の外では、茨城で、通常の数倍の数値が出ているようですが、それはつまり、何ヶ月かずっと外にいれば、1年分の放射線を受けて、0.01%ほど、癌になる確率が高くなる、という事です。今後、大量の放射性物質がまた原発から出てしまうことが無ければ、この放射線の量は心配する程ではないと思います。(これはあくまで、僕個人の判断。)


原発のすぐ近く以外では、水や食べ物から、放射性物質を体内に取り込んでしまう事で起こる、内部被曝の方が心配です。特に、甲状腺に溜まるヨウ素の、放射性を持ったヨウ素131が危険視されていますね。甲状腺に集中的に放射線が当たるので、甲状腺ガンに罹る可能性が上がるんです。他には、セシウム137、ストロンチウム90などが、こういった事故の際、注意しなければならない放射性物質です。

じゃあ、何ベクレルくらいの、放射性物質を体内に取り込んでしまうと、危ないのか。1ベクレルにつき、何シーベルトの被曝をするのか、まとめた表があります。(リンク)これを目安として、また大雑把な計算をします。

ヨウ素131(I-131)、ストロンチウム90(Sr-90)、セシウム137(Cs-137)の3つを見るとどれも、1ベクレル飲み込むごとに、0.01マイクロシーベルト単位の被曝をするとなっています。(注7,8)

危険になり始める約1ミリシーベルトに達するには、約10万ベクレル、これらの放射性物質を取り込まないといけません。この10万ベクレルというのは、この3つ以外の放射性物質が大量に出てこなければ、使えるので、覚えておいていいのではないかと思います

水道水の、1kgあたり200ベクレル、というのは、まず問題ないと思います。50リットル飲んでも、1万ベクレルです。用心するに越した事はないですが、心配し過ぎないよう。

1kgあたり1000ベクレルなどの数字が出ている野菜も、食べたらアウト、というような物ではないのは、分かってもらえるでしょうか。各自、どれくらいの量を食べているのか、考えて、判断してください。


危険になり始めるラインについて、まとめますね。

放射線の被曝が、ミリシーベルト単位になると、危険になり始める。

食べ物、飲み物から、10万ベクレル単位の放射能を体内に取り入れると、危険になり始める。(ヨウ素、セシウム、ストロンチウム以外の汚染が話題になると、更新する必要があるかもしれない)

どちらも、上に説明したように、厳密なものではありません。どれくらいのリスクなら受け入れられるのかは、最終的には個人の判断ですから。


以上、おおまかな目安の話ですが、少しでも、心配を和らげる事が出来れば、と思って書きました。質問があれば、コメント欄でも、ページ左側のメールフォームでもどうぞ。出来る限り答えます。僕の専門分野は、原子核物理なので、放射線自体の性質に付いては、もっと詳しく話せます。医療関係は、門外漢なので、基礎的な部分以外は答えられるかどうか保証できません。

もし、間違いがあった場合は、コメントですぐに教えてください。とても大雑把な話をしましたが、間違った情報は流していないつもりです。


(注1)放射線の種類については、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子、など、興味があったら質問、または他で調べてみてください。この記事は、大雑把な話だけです。

(注2)場合によっては、変わった後も放射性物質だったりもするんですが、本筋からそれるので、割愛。

(注3)本当は、1秒毎に起こる、崩壊の数。一度に複数の放射線を発する物質もあるので、放射線の数は、崩壊の数よりちょっと多い。だから、大雑把。

(注4)同じエネルギーでも、アルファ線や中性子は、ガンマ線などよりさらに悪影響を及ぼすことが分かっています。シーベルトという単位は、これも考慮に入れて、補正してあります。単純なエネルギーの吸収量の場合は、グレイという単位。

(注5)「元々半分だから、ちょっと増えても関係ない」、なんて事は僕は言ってませんし、思ってもいませんよ。事実をそのまま述べてるだけです。

(注6)大雑把な話です。もっと正確な数字は、チーム中川のブログなどにあります。

(注7)リンク先の、10^-8と言うのは、10の-8乗、0.00000001(0が8つ。1億分の1)の事です。0.00000001シーベルト=0.01マイクロシーベルト。

(注8)ストロンチウム90の場合、空気中にあるものを吸い込む方が、同じ放射能での被曝量が大きくなるようですが、一般的に、食べ物などに付いている場合の方が、空気中よりも濃度は格段に高いはずです。

テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

原発事故について

今回の地震・津波の後の、福島の原子力発電所での事故。原子力発電について予備知識のない人は、どう考えて良いのか分からないのではないでしょうか。

一番極端な話、原爆のように爆発するのではないか、という心配をしている人もいるように聞いています。(原発の燃料では、原爆のような大爆発はしない、と言っておきます)

正しい情報を持たなければ、正しい判断は出来ません。自分で説明しようかとも思ったのですが、より良いリソースがあるので、下にリンクを貼ります。ただ、さらに質問があった場合は、このブログのコメント欄でも、ツイッターの方ででも、聞いてみてください。僕に答えられる範囲でお答えします。(念のため:原子核の物理をやっていますが、原子力の専門ではありません)

下のリンクが、東大物理学科の早野教授の、ツイッターでの発言が、Q&Aの形にまとめられたサイトです。早野教授も、原子力の専門ではないですが、確証のあるデータから言える事を、慎重に語られています。

http://smcjapan.blob.core.windows.net/web/faq.htm

早野教授のツイッターはこちら


あと、もう少し時間に余裕のある人には、オススメの本があります。

今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈1〉今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈1〉
(2010/09)
リチャード・A. ムラー

商品詳細を見る


今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉今この世界を生きているあなたのためのサイエンス〈2〉
(2010/09)
リチャード・A. ムラー

商品詳細を見る


原発に限らず、エネルギー問題全般や、地球温暖化の話なども、物理学の視点から言える事をわかり易く説明してくれる本です。専門知識は必要なく、数式も本文には無いはずです(注にはある)。バークリーの教授の書いた本ですが、頼まれて宣伝しているわけではありません。向こうはそもそも僕の事を知りませんから。

原著の方を読んだので、翻訳は保証できません。原著で読みたい方は↓。邦題と違って、良い題です。

Physics for Future Presidents: The Science Behind the HeadlinesPhysics for Future Presidents: The Science Behind the Headlines
(2009/09/21)
Richard A. Muller

商品詳細を見る


知識を蓄え、それを心配している人に伝え、安心させてあげてください。

テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

こんな時こそ、音楽

音楽でも聴いて心を鎮めましょう。それどころではない人もいるのは承知ですが、今、このブログを見ているような人は、そんな事はないはず。

この音楽を選んだ理由は、聴いて、観てもらえれば分かってもらえるのではないかと信じています。

















テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

引越し予定

いきなりですが、今年10月から、ポスドクになります。

雇い主は、ウィスコンシン大マディソン。大学院を選ぶ際に蹴った学校の1つです(汗)

ま、立場が今と当時では全く違うので、関係ないですね。見学に行った時に話した教授などいるので、むしろプラスです。(旧ブログの方で探せば、当時の話が出てきます)


先週は色々ありまして、卒業までの関門の1つの口頭試験を水曜に済ませて、ポスドクのオファーが入ったのが金曜でした。トントン拍子じゃないか、と周りの人には思われているんですが、色々とギリギリでクリアしている、というのが本人の印象です。

元々土曜に予定されていた、友人のハウスパーティーを、勝手に二重のお祝いパーティーとさせてもらいました。(さらに勝手に、泊まらせてくれてありがとう...)


12月にこのポスドク職に応募すると決めて、早送りで卒業に向けて研究を進めている...進めないといけないところです。9月辺りに卒論を出すまでは、多忙かと思います。そして引越しでまた...と考えても仕方が無いわけで、研究をまず済ませないと。


ところで、2012年には気を付けましょう(え?)

97年にアメリカに移住してからの、僕の居住歴は...
メンフィス 5年間
セントルイス 4年間
シアトル 3年間
バークリー 2年間
マディソン ?

パターンが見えてきましたね~

マディソンに1年って、ポスドクの任期より短いんですけどね。で、その後はどうなるんだ?と。

2012年に何かが起こるという事で...ん、もしや自分だけ?(笑)

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

多忙

毎週更新が2回で途切れちゃいましたが(笑)言い訳できる状況ではあります。ポスドク職に応募しているのと、採用された場合のために、秋までの卒業に向けて口頭試験を済ませておかないといけないんですね。

口頭試験には研究アドバイザー含めて審査員4人、教授を集めないといけないんですが、教授というのは多忙な人種。4人とも同じ時間に試験に出られる時間というのがなかなか見つからないんです。

来週水曜になんとかやろうと思っているんですが、4人目がまだいない…


これが終わったら、普通に更新できる…はず。

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

センター試験

ちょっと冷め気味の話題ですが、センター試験の問題を試しにやってみました。今年の問題と解答は検索すればすぐ出てきますね。


僕が大学を選ぼうとしている時には、すでにアメリカに4年ほど住んでいて、日本の大学に行くというオプションはほとんど考えていませんでした。そこで、もし日本で受験していたらどうなっていたんだろう、というのがちょっと気になったんです。理系で受験するという仮定で、どの科目を選ぶのがいいのかな、というところまで面白かったので考えてしまいました。意味無いんですけどね。


自慢話のようにはしたくないので、具体的な点数は伏せます。どうしても知りたい人がいたら、メールフォームで聞いてもらえればお返事を出すかもしれません。

まず、数学と物理では、高得点が取れました。英語も当然簡単。この3つは、日々使っているものなので、いくら点を取っても自慢になりません。国語は思っていたより点が取れました。分からない、分からない、と思いつつ答えた漢文は特に。

社会科は、地理の方が歴史よりずっと分かりました。理科は、生物はまあまあ、化学は悲惨(笑)


こうやって受けてみて思ったのは、やはり日本の大学は受けなくて良かったな、と。少なくとも、受けていたとしたら、受験勉強が苦痛だっただろうな、と。

アメリカの大学に入る際の共通試験は、SATとACTの2つ。この2つの違いの話は面倒になるんですが、両方について言えるのは、主に基礎的な思考力を測るテストだということ。

僕が受けた時のSATは、英語と数学のみ。今でも作文のセクションが加えられただけです。ACTには、Scientific Reasoning(科学的思考?)というセクションがありますが、これに含まれる質問は、ある実験に関するデータを与えられて、どのような結論が導けるのか、というもの。

丸暗記して得をするのは、英語のボキャブラリーくらいなんですね。フォーマットや、良くあるパターンに慣れる事である程度点数を上げることが出来ますが、基本的には試験勉強の効果がそれほど高くないテストです。アメリカの入学審査では、共通試験の点数の他に、高校の成績、課外活動、エッセイ、推薦状などの評価が加わるので、共通試験の試験勉強をするよりも、他で頑張る方が効率が良くなります。


センター試験はというと、暗記に頼る部分が大きいように見えました。大雑把に言ってしまうと、考える力を試すのではなく、どれだけ学んだのかを試す試験ですね。

特にそれが明らかだったのが、歴史です。

僕の考えとしては、学問で大事なのは「意味」です。歴史に含まれる意味は、過去の出来事の間にある因果関係。専門用語の定義や、誰々が何々をしたという記述だけでは単なるトリビアで、意味のある歴史ではありません。どういった背景からその出来事が起こったのか、そしてその出来事に影響されて、どういった事が他に起こったのか、というのを読み解いて初めて意味が現れるんですね。

そういう点で残念な問題がセンター試験の歴史にはかなり多くありました。問題を見てもらえれば、単なる事実関係を問う問題がすぐ見つかると思います。

地理にも、トリビア的な問題はあるんですが、基礎知識から類推できる問題が、歴史よりも多いように思いました。もちろんこれは、僕の知識の偏りかもしれません。


化学も、化学物質の名前から化学式が分からないと解けない問題や、化学反応を暗記していないと解けないような問題がいくつか。

水の化学式が分からないとか言うのはまずいですが、実際のところ、プロの化学者に聞いたらどれくらいの人が解けるんだろう、と思った問題もありました。(みんな解けたりして、笑)

理科での「意味」は、現象が起こる理由、原理、なので、大量に暗記していないと点が取れない試験というのは、どうも間違ったものを目指しているように思えるわけです。知識は増えますし(長期的にはどれくらい記憶に残っているのか分かりませんが)、目標に向けて努力する事は大事ですから、こういった試験に向けて勉強するのが全くの無駄とも思いません。ただ、おかしな基準で学力を測ってしまうのは、学問に対する姿勢を歪めてしまうのではないでしょうか。


トップレベルの大学の2次試験では、もっと良い問題が出てくるんでしょうね。時間が無いので見ていませんが。

結局何が言いたいかというと、センター試験の勉強をしないで良かったのはラッキーだったな、という事でした。親に感謝です。それだけか(笑)

テーマ : 大学受験
ジャンル : 学校・教育

ご無沙汰してます

ブログ読者の方、と言ってももうチェックしてる人はほとんどいないようにも思いますが、お久しぶりです。時々ここのページを開けてチェックされていた方には、RSSリーダーをオススメします…戻ってきていきなりする話じゃないですね。気にかけて下さってありがとうございます。

ここ半年近くは、Twitterに専念(?)していました。忙しいのもあるのですが、やはり更新する習慣が抜けてしまうとなかなか出来ませんね。

週一くらいのペースで更新出来るかな、と今は思っています。改めてよろしくお願いします。


習慣が戻るまではなんでもいいので更新するのが吉でしょうね。

という訳で今聴いてる曲でも。チャーリー・パーカーのConfirmation。王道ですね。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

プロフィール

Author:アシュリー
カリフォルニア州バークリー在住、元スポーツジャンキーのアシュリーです。

今観るスポーツは、アーセナル(サッカー)とグリズリーズ(バスケ)、あとテニス。

専門の物理ネタ以外にも、色々書いていくつもりです。

Twitterをハンドル名Inoueianでやっています。

ブログ内検索
カレンダー
07 | 2017/03 | 10
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
リンク
RSSリンク
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。